ヒトノロウイルスは、その存在が発見されて以来半世紀ほど、ヒトの体内以外で増やすことができなかった。2016年にHIOを用いて感染複製することが見出されたが、HIOの培養は、取り扱いが通常の細胞培養株に比べ煩雑でありコストも高い。それに加え、ノロウイルスの増殖量も約1000倍程度と増えが悪く、ウイルス研究を行う上では不十分である。よって、HIOのヒトノロウイルス感受性の仕組みを理解することは、これらの問題を解決する糸口となり、より良い培養系の確立につながる。十分なヒトノロウイルスを確保することができる系を作製できれば、ワクチン研究や創薬研究などが可能となる。
|