現在、クッシング病においてACTHの過剰分泌を抑える有効な薬物療法はない。POMC遺伝子を調節している領域のうち、POMC発現の抑制に働く因子を増強、あるいはその逆で、発現を増加させているものを抑える方法を検討することで、新たなクッシング病治療の開発につなげることができる。さらにこの方法は他の細胞や遺伝子にも応用ができる。特に有効な治療法のないホルモン過剰産生や、産生低下が問題となっている疾患については、原因となっている細胞の中の標的とする遺伝子に同様の技術と解析を用いて検討を行い、それらを抑制する、増強させる方法を構築し、これまでになかったまったく新しい治療法の開発につなげることができる。
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