研究課題/領域番号 |
21K08665
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
正畠 和典 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40588381)
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研究分担者 |
前田 晃 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00319708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Xenotransplantation / 糖鎖認識部位 / SP-A / ブタ血管内皮細胞 / 細胞障害率 |
研究実績の概要 |
バイオ人工臓器(異種移植)の拒絶反応は、補体制御因子、抗凝固因子のTransgenic(TG)-ブタの出現や、GalT-Knockout(KO)-ブタの開発によりかなり制御可能になって来ている。しかし一方、MacrophageやNeutrophilなどの自然免疫系細胞による拒絶反応に対する検討は不十分で、一般的に知られているヒトCD47の発現だけでは全く十分とは言えない。またこの分子の高発現がもたらすサイドエフェクトも判明している。すなわち現在新たにMacrophageの制御方法の検討が必要とされている。 今回まず、肺胞サーファクタントSP-Aに目をつけた。そのCDR(糖鎖認識部位)部分を膜型レクチンの一つCL-1のCDRに置き換えるべく、遺伝子組み換えを施工した。まずは、PCXN2-Vectorのcloning siteにヒトCL-1を組み込んだ。次に、そのCDR部分にSPAのCDR部分を置き換え、pCXN2-CL-SPAを作成した。そして、ブタ血管内皮細胞(SEC)、MYP30、にこれを遺伝子導入し、高発現のlineを得た。 次に、ヒトmonocyte/macrophageとしてcell lineのTHP-1を用意し、通常のSECとこのSEC/CL-SPAのlineを使い、これらの細胞障害率の差を検討した。現在までに、結果としてSECが33.5%の障害率であるのに対して、SEC/CL-SPAでは24.5%と優位に細胞障害を抑えていることが判明した。今後、ヒトmacrophageでのphagocytosisに対する制御効果を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
pCXN2-CL-SPA作りと、そのcell line作りに手間取った。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトmacrophageでのphagocytosisに対する制御効果を検討していく。 また、CD47やCL-SPDと比較検討する。THP-1やヒトmacrophageによる細胞障害率、また、macrophageによるPhagocytosisへのこれらの分子の効果を検討していく。また、その際のサイトカインの変化も、ELISAやmRNA検査で検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺胞サーファクタントSP-Aに目をつけ、そのCDR(糖鎖認識部位)部分を膜型レクチンの一つCL-1のCDRに置き換えるべく、遺伝子組み換えを施工し、pCXN2-CL-SPAを作成した。これまでに時間を費やした。また、ブタ血管内皮細胞(SEC)にこれを遺伝子導入する際に、高発現のline(SEC/CL-SPA)を得るのにも、大変時間を費やしてしまった。その後、ヒトmonocyte/macrophageとしてcell lineのTHP-1を用意し、通常のSECとこのSEC/CL-SPAのlineを使い細胞障害率の検討はし得たが、残額が生じたのは、全体的に実験そのものがやや遅れ気味であるためである。
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