研究課題
一昨年より肺胞サーファクタントSP-Aに目をつけ、そのCRD(糖鎖認識部位)部分を膜型レクチンの一つであるCL-1のCRDに置き換え、pCXN2-Vectorのcloning siteに挿入、pCXN2/CL-SP-Aを作成し、前回はヒト好中球のブタ血管内皮細胞(SEC)に対する障害率を検討した。今回はヒト抹消血からの好中球(neutrophil)を取り出し、CL-SP-Aによる細胞障害に対する抑制効果を検討した。SECに対するヒトの細胞障害率は約30%であったのに対し、SEC/CL-SP-Aに対しては約15%を示した(p<0.05)。また、続いてROS産性能を検討した、SECの場合を100%とすると、SEC/CL-SP-Aでは約75%程度に落ちていた(p<0.05)。また、NETosisの値は、SECの場合を30%とすると、SEC/CL-SP-Aでは約20%程度に落ちていた(p<0.01)。さらに、反応の際の好中球でのサイトカイン産性能についてもmRNAを取りrt-PCR法で測定した、SEC/CL-SP-Aに対する場合は、SECに対する場合と比べて、IL-1βの産生、及びTNF-αは有意に下がっていた(p<0.01)。これらの事から、hybrid分子CL-SP-Aは、macrophageだけでなく、好中球でも、そのSECに対する攻撃の際の抑制に有効であることが証明された。一方、当初からの計画であった、Galectinに関しても、同じく、そのCRD部分を膜型レクチンCL-1のCRDに置き換え、pCXN2-Vectorのcloning siteに挿入し、pCXN2/CL-Gal3およびpCXN2/CL-Gal9を作成した。頻回に遺伝子導入を試みたが、安定的な発現を示すSECのlineは確立できなかった。
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Transpl Immunol.
巻: 84 ページ: 102020
10.1016/j.trim.