研究課題/領域番号 |
21K08689
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 恭一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80804822)
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研究分担者 |
大辻 英吾 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20244600)
塩崎 敦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40568086)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / イオンチャネル |
研究実績の概要 |
膵癌細胞株PK59から癌幹細胞を抽出・培養し、抗癌剤耐性・再分化能などのStemnessを確認した。網羅的遺伝子発現解析からKCNB1、KCNC1、KCND1等のvoltage-gated potassium channels (VGKC)が、癌幹細胞において高発現していることを見出した。更に、その阻害剤4-Aminopyridineの癌幹細胞増殖抑制効果や、抗癌剤の作用増強効果をin vitro、in vivoで確認した。これらの結果は、英文論文としてまとめ報告した(Int J Oncol. 2021)。同時に、ヒト膵癌組織におけるKCNB1の発現レベルを解析したところ、ALDH1A1と正の相関を示すことが明らかとなった。cBioPortal databaseを用いた解析でも、KCNB1とALDH1A1のmRNA発現は正の相関を示した。PK59細胞にKCNB1 plasmidを導入したところ、細胞増殖が増強された。ヒト食道癌細胞株のうち、KCNB1が高発現していたTE5細胞とKYSE70細胞に対してKCNB1 siRNAを導入したところ、G2-M期の進行停止、アポトーシス誘導、遊走浸潤能抑制が確認された。IPAを用いたMicroarray解析ではEphrin receptor signaling pathwayが細胞増殖の抑制に関与していた。根治切除を施行した食道癌患者組織を用いて免疫組織化学染色(IHC)を行ったところ、生存解析では、KCNB1高発現群が低発現群と比較し有意に5年無再発生存率が不良であった。これらの研究成果は英文論文にまとめ、現在投稿中である。 一方で、食道腺癌幹細胞(Ann Surg Oncol. 2023)や肝細胞癌幹細胞(Anticancer Res. 2023)に特異的に発現するイオン輸送体を同定し、それらの阻害剤による抑制効果を解明し報告した。また、胃癌においてTRPV2がPD-L1の発現を制御し、PD-1への結合に影響を及ぼすことを解明した(Ann Surg Oncol. 2023)。また、大腸癌におけるNa+/K+-ATPase (Ann Surg Oncol. 2023)の機能解析・臨床病理学的意義を報告した。
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