研究課題/領域番号 |
21K08698
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
平田 敬治 産業医科大学, 医学部, 教授 (70269059)
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研究分担者 |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (20423527)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / ヒアルロン酸 / 細胞シグナル / 低酸素 / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒアルロン酸代謝亢進フェノタイプ(HAMP)とHippoシグナルとの関連性を調べ、膵癌の新たな悪性化メカニズムを解明することである。このために、(1)臨床検体(膵癌組織)におけるHAMPとHippoシグナル活性(YAP発現)との相関、(2)膵癌細胞における低分子ヒアルロン酸とHippoシグナル活性およびEMTとの関係、(3)HAMP陽性膵癌細胞に対するYAP活性化をブロックする治療戦略の開発の3つの研究課題に沿って実験を進めていく。本年度は、膵癌患者の切除標本(凍結組織およびホルマリン固定パラフィン包埋切片)を用いて、免疫化学染色にてHAMPとHippoシグナル活性(YAP発現)との相関を解析中である。同時に、HAMPと癌微小環境との関係を明らかにすべく、膵癌細胞を低酸素下で培養したところ、HAMPで活性化されているヒアルロン酸分解酵素KIAA1199の発現が上昇した。この低酸素によるKIAA1199の活性化は、癌細胞の遊走能の亢進と相関していた。この研究成果をまとめ、Scientific Reportsに報告した(Oba T, et al. Sci Rep, 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの知見をまとめ、論文として科学雑誌に報告した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、膵癌細胞における低分子ヒアルロン酸とHippoシグナル活性およびEMTとの関係、およびHAMP陽性膵癌細胞に対するYAP活性化をブロックする治療戦略の開発について、さらなる実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に使用した実験器具が予定よりも少なくてすんだため。翌年の実験(PCR試薬および細胞培養の試薬など)で使用する予定。
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