研究課題/領域番号 |
21K08712
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
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研究分担者 |
梁井 公輔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10621055)
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
三好 圭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70755272)
永井 俊太郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90755240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | MAML3 / 胆嚢癌 / Hedgehogシグナル / NOTCHシグナル / 形態形成シグナル / 増殖 / 浸潤 / 新規治療法開発 |
研究実績の概要 |
本研究目的は難治性で有効な治療法の少ない胆嚢癌において、転写共役因子Master mind like 3(MAML3)を標的としたHedgehogシグナル/Notchシグナルの両シグナル阻害による新規癌治療法を開発することである。本年度は、胆嚢癌におけるMAML3の生物学的役割の解析を行った。MAML3siRNAを導入して、MAML3遺伝子を抑制する方法で、TGBC2TKB, NOZ,およびTYGBK-1細胞株を標的細胞とした。MAML3 siRNAの導入により、MAML3発現は約50%抑制された。MAML3分子発現を抑制することにより、TGBC2TKB, NOZ,およびTYGBK-1細胞株共に、増殖能は有意に低下した。また、MAML3分子発現抑制により、遊走、浸潤はTGBC2TKB, NOZ,およびTYGBK-1細胞株共に、有意に低下した。この浸潤能低下のメカニズム解析のため、上皮間葉転換関連の蛋白発現解析を行った。その結果、MAML3 siRNAの導入により、E-cadherine増加、vimentine減少、slug減少が認められた。即ち、MAML3による浸潤亢進には上皮間葉転換が関与していることが示唆された。ここまでの結果より、MAML3は胆嚢癌において増殖、浸潤といった悪性形質誘導に関与しており、新規治療標的となる可能性が十分あることが考えられた。今後は、MAML3抑制による悪性形質の抑制が、HedgehogシグナルやNOTCHシグナルを経由しているのかを検証する必要がある。Hedgehog/NOTCHシグナルの標的遺伝子の発現解析や、Hedgehog/NOTCHシグナル阻害剤を用いて胆嚢癌形質変化の解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胆嚢癌におけるMAML3の生物学的役割の解析を行い、MAML3は胆嚢癌において増殖、浸潤といった悪性形質誘導に関与しており、新規治療標的となることを示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、MAML3抑制による悪性形質の抑制が、HedgehogシグナルやNOTCHシグナルを経由しているのかを検証する必要がある。Hedgehog/NOTCHシグナルの標的遺伝子の発現解析や、Hedgehog/NOTCHシグナル阻害剤を用いて胆嚢癌形質変化の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
In vitroでの実験が何度も実験を繰り返すことなく、再現性が得られたことが要因と考えられる。今後、Hedgehog/NOTCHシグナルの標的遺伝子の発現解析や、Hedgehog/NOTCHシグナル阻害剤を用いて胆嚢癌形質変化の解析を行う予定であり、抗体や阻害剤購入費用に充てる予定である。
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