研究課題/領域番号 |
21K08827
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
白川 崇子 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (40218045)
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研究分担者 |
太田 智行 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学病院, 准教授 (00534182)
大木 隆生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50260948)
関根 紀夫 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (70295434)
太田 裕貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70408376)
松浦 勉 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 研究員 (80181692)
古川 顕 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
中田 典生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80237297)
山田 惠 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315960)
岡野 ジェイムス洋尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血栓 / 超音波 / 超音波造影剤 / Bモード / カラードプラ |
研究実績の概要 |
下肢静脈血栓症など、血栓症はありふれた疾患である。日本人の魚中心とした食生活から欧米の高脂質・肉中心とした食生活に変化したことによって、血栓症発症の頻度が増加している。 マイクロバブル(超音波造影剤)は、超音波を照射すると低音圧で共振し、高音圧で崩壊する。本研究では、血栓症に対して血栓溶解剤に加えて超音波造影剤と臨床用汎用型超音波装置による体表から超音波照射を行い、血栓溶解増強効果を証明する。1997年に低周波数超音波照射は、フィブリン凝集を離解すると研究発表があり、近年では超音波造影剤を加え、超音波照射し、血栓溶解増強の研究発表がある。このことは、血栓溶解治療効果の増強が期待できる。しかし、これらの研究発表は、いずれも2 MHz以下の低周波超音波を用いており、日本の臨床汎用機3.5 MHzの中周波数ではない。 また、注射用超音波造影剤は、ハーモニック超音波を用いて肝・乳房腫瘤性病変の診断に保険適応がある。しかし、ハーモニック法は高額で臨床汎用機には搭載がない。本研究の目的は、臨床用汎用型超音波装置と超音波造影剤を用いて、日本在住日本人の血栓溶解の増強効果を実証することである。超音波造影剤は、別疾患(肝および乳腺腫瘍)の診断に保険適応となっているので、実用化のハードルは低い。臨床用汎用型超音波装置のBモード及びカラードプラモードでも、超音波造影剤の描出が可能であり、造影モードではないため、高音圧であり、超音波造影剤を高速で破壊していることを実証している。 7人の正常ボランティアから試料(血液)を採取し、in vitroで臨床用汎用型超音波装置のBモード、カラードプラモード、超音波造影剤 マイクロバブル(ソナゾイドTM)使用の至適超音波条件を確定した。超音波を照射することで、血栓(血栓制作から24時間後)に変化が生じることを実証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに臨床用汎用型超音波装置のBモード及びカラードプラモードでも、超音波造影剤の描出が可能であり、造影モードではないため、高音圧であり、超音波造影剤を高速で破壊していることを実証している。 2021年度は、動物試料(血液)を用いた、in vitro実験を行った。本研究は、前臨床実験を目的としているが、最終的には、日本在住日本人の血栓症治療に応用したい。動物とヒトとの血液凝固機序は同じだが、凝固能に差がある。 2022年度は、7人の正常ボランティアから試料(血液)を採取し、in vitroで臨床用汎用型超音波装置のBモード、カラードプラモード、超音波造影剤 マイクロバブル(ソナゾイドTM)使用の至適超音波条件を確定した。超音波を照射することで、血栓(血栓制作から24時間後)に変化が生じることを実証している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroで、血栓制作から3日後の血栓でも超音波を照射することで、血栓に変化が生じるのか検証したい。血栓の変化が悪ければ、至適超音波条件を検討する。この時点で、学会発表と論文発表を行う。 次に動物実験を検討し、in vivo実験を開始する。ラットまたはウサギを使用して、大腿静脈に血栓を作成するが、血栓作成方法を検討する。血栓作成が成功すれば、超音波照射、超音波造影剤静脈投与プラス超音波照射を行い、血栓溶解増強効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究開始の前年度(2020年度)に学内の競争的傾斜的研究費(科研費など外部研究費獲得を目的に予備実験などを行うための研究費)採択あり、超音波造影剤(マイクロバブル)、生理食塩水、ヘパリン、ウロキナーゼなどを購入した。余剰薬剤があったため、新たに購入した薬剤が少なかった。新型コロナウィルス蔓延防止のため、オンラインで学会参加したため、交通費がかからなかった。これらのことが研究費の次年度使用が生じた理由である。 使用計画は、研究協力者への謝金、実験動物購入費、薬剤購入費、学会参加費、リアル学会・ミーティング旅費、電子データ保存媒体購入、英文校正、論文投稿費に助成金を使用する予定である。
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