研究課題/領域番号 |
21K08841
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
新美 清章 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50467312)
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研究分担者 |
古森 公浩 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40225587)
坂野 比呂志 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80584721)
児玉 章朗 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10528748)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腹部大動脈瘤 / 血流改変 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
研究実績の概要 |
腹部大動脈瘤は下肢動脈瘤も含め、動脈の分岐点で乱流の生じやすい部位に好発し、腹部大動脈瘤は多くは大動脈分岐上、総腸骨動脈瘤や総大腿動脈瘤も同様に分岐直上にできる。一方、直線状になっている外腸骨動脈や浅大腿動脈の瘤化はほとんどない。本研究の目的は、大動脈瘤抑制のための血流改変モデルを作製解析することで腹部大動脈瘤形成および進展のメカニズムを明らかにし、その上で新たな血管病の治療戦略を呈示することにある。さらには血流改変モデルが下肢閉塞性動脈硬化症と類似した病態か分子生物学的に解明できれば新たな大動脈瘤治療の可能性を探ることになる。そのために、令和3年度には、以下の計画を実施した。 【血流改変実験動物モデル作製】 10週の野生型雌性マウス(C57BL6)を用い、高血圧誘導し、当院血管外科の川井らが2020年に報告した腹部大動脈瘤モデルを作製した。マウスの皮下に浸透圧ポンプを植え込み、アンギオテンシンⅡ(AngⅡ)を1000ng/kg/minの容量で28日間持続投与することで大動脈負荷刺激を行い作製する。約6週間後に腹部大動脈瘤を形成するため、この方法を用いて実験を行った。 また、血流改変モデル作製としてイソフルレンにて麻酔を行い、開腹したのち、右総腸骨動脈を剥離テーピングしたのち、6-0シルクにて結紮し、改変モデルを作製して瘤径増大の変化を測定予定とした。4週間後まで1週間おきに、イソフルレンによる全身麻酔下にBモードエコーやCTを使用し、瘤径の最大径、内腔の大動脈径について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンジオテンシンⅡ持続投与による大動脈瘤モデルで結紮したモデルの作製を試みたが、マウス自体が小さすぎて結紮がうまくいかなかったことや、腹部エコーによる大動脈瘤モニタリングの確立に難渋した。実験条件の最適化を検討中である。また、動物実験施設の改修に伴い、検査機器移動や、当科組織改編や共同研究者の異動に伴う影響もあり、研究が遅滞している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新たな実験動物モデルとして、野生型ウサギを使ったモデルを検討中である。傍大動脈への塩化カルシウム(CaCl2)浸漬による腹部大動脈瘤モデルを作製し、腹部エコーによる大動脈瘤モニタリングおよび病理学的評価の確立、また総腸骨動脈結紮により誘発した血流改変モデルおよび対象の腹部大動脈モデルで、2週間および4週間後に安楽死させ大動脈を採取し、瘤径変化や組織も含め解析予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症により学会出張が減り、当初予定していた使用額に誤差が生じたため、残額分を旅費・物品費として使用予定
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