昨年度にin vitroでT細胞活性化アッセイと細胞傷害性アッセイにより、iPS細胞由来間葉系幹細胞(iMSC)の免疫制御能の検討を行い、iMSCは用量依存的にTリンパ球の増殖を抑制すること、およびNK細胞をeffector細胞とした標的細胞(K562細胞)に対する細胞障害性を抑制することが認められた。 そこで、本年度はIn vivoでの他家移植による免疫制御能の評価を行った。具体的には、MHC class I/II-deficient NOGマウス (NOG-dKO) を用いて免疫系ヒト化マウスを作製し、iPS細胞由来心筋細胞 (iPS-CMs) のみの皮下移植に比べて、iMSCと同時移植することにより、免疫拒絶反応が抑制され、移植片の生着が延長するかの検証を行う予定であった。 まず、他科移植を評価出来る免疫系ヒト化マウスの作製工程において、NOGマウスに投与するヒト由来PBMCへの刺激や投与量について検討したが、最適化が終了しておらず、十分なヒト化マウスモデルの作成に至っていない。 そこで、並行して免疫が正常なラット(Lewisラットなど)を用いて同様の細胞移植を行い、組織化学的評価を行った。その結果、iPS細胞由来心筋細胞 (iPS-CMs) のみの皮下移植に比べて、iMSCと同時移植した群において、移植片の生着の延長が見られた。
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