研究課題/領域番号 |
21K09017
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80836594)
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研究分担者 |
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
松本 寿健 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (70644003)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 敗血症 / 免疫抑制 / PD-1 / シングルセルRNA解析 / CyTOF |
研究実績の概要 |
敗血症ではSIRS(全身性炎症反応症候群)という炎症過剰と同時にCARS(代償性抗炎症反応症候群)という免疫抑制が同時におこっている。敗血症後の二次感染の増加や亜急性期の死亡は、この免疫抑制が遷延することによるものと考えられている。敗血症に対してこれまで数多くの抗炎症、侵襲制御を目的とした治療が試みられてきたが、依然として根本的な治療には至っていない。そして、敗血症におけるCARSに着目した治療は未開拓のままであり、急性期の治療が終わった後の長期的な予後改善に焦点をあてた免疫抑制の研究は少ない。 近年の研究では、敗血症による過剰な炎症が生じるとT細胞の活性が抑制され、機能低下とアポトーシスによる減少がみられる。今回、免疫抑制の進行を抑える、もしくは免疫抑制の状態から発症前の状態に賦活することを目標に本研究を立案した。 免疫抑制状態にあるT細胞の表面マーカーとしてPD-1が注目されている。本研究では、まず敗血症患者から血液を採取し分離した末梢血単核細胞(PBMCs)からPD-1を含む免疫抑制状態に多く発現する表面マーカーがあるT細胞を抽出する。それらの細胞を用いてシングル細胞RNAシークエンスを実施する。臨床データとの関連を明らかにすることで、免疫抑制の病態に影響を与えるkeyとなる遺伝子を明らかにする。 1年目(令和3年度)は大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターで治療を行なった敗血症患者とご家族に同意を得たうえで検体の収集を行なった。また、治療内容などの診療情報を収集し解析対象とする患者特性を明らかにした。 また、CyTOFを用いて約60種類の細胞表面マーカーでsortingし、PBMCの表面マーカーごとの分布を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進めるにあたり、対象とする疾患の患者検体を収集することが実施できた。また臨床データも十分に収集することができた。CyTOFを用いた細胞分布まで明らかにし、シングルセルRNA解析をするにあたり必要な手順は全て終了した。研究計画書内容を順調に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目(令和4年度)には、臨床経過と併せて、細胞の分布からシングルセルRNA解析をする対象となる細胞集団を同定し、シークエンスを実施する。シークエンス結果と臨床データのさらなる関連について解析し免疫抑制の病態におけるkeyとなる遺伝子を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症の影響で学会参加に必要な旅費が予定より少なくなった。翌年度以降は学会参加回数が増える見込みであるため、積極的な学術活動を進めていく予定である。
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