研究課題/領域番号 |
21K09249
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 啓之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
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研究分担者 |
岩橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40852108)
村瀬 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50335361)
岡 久仁洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50724085)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経可塑性 / 末梢神経損傷 / リハビリテーション / 神経トレーサー |
研究実績の概要 |
脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経損傷においては、リハビリテーションにより大脳皮質や脊髄の可塑性が促進することが証明されてきた。一方で、末梢神経損傷後のリハビリテーションが、大脳皮質および脊髄における神経可塑性に与える影響についてはほとんど解明されていない。そこで末梢神経損傷後の大脳皮質および脊髄における神経可塑性について、リハビリテーションによる効果を解明する目的で本研究を実施した。昨年度に引き続きWistarラット左坐骨神経に逆行性神経トレーサー(Fluoro Gold)を注入することで、運動神経である脊髄前角細胞の標識が可能であることを確認した。また中枢神経標識モデルとして、正常Wistarラットの大脳皮質運動野には順行性神経トレーサー(Biotin Dextran Amine)を注入し、脊髄内の皮質脊髄路(中心管後方の後索部分)が標識されることが確認できた。これらのモデルを作製することで、脊髄内の皮質脊髄路から前角細胞、末梢神経に至る経路がすべて標識可能であることが証明された。 左坐骨神経損傷モデルを作製し、逆行性トレーサーを坐骨神経に注入すると、腰髄運動神経の細胞体体積が減少すること、腰髄内のvAchTで標識される介在ニューロンの細胞数が減少すること、介在ニューロンへ投射するシナプス数(vAchTおよびvGlut1で標識)が増加することが解明された。今後は坐骨神経損傷後にリハビリテーションを行うことで、これらの変化がどのように推移していくのかについても検討を行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き順行性および逆行性トレーサーを用いたモデル作製の確立を行ってきた。モデル自体は確立されたが、リハビリテーションによる影響をまだ観察できておらず、当初の予定よりは若干の遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに確立できた順行性および逆行性トレーサーを用いた動物モデルを用いて、「末梢神経損傷後の大脳皮質および脊髄における神経可塑性について、リハビリテーションによる効果を解明する」という目的に向けて研究を進めていく予定にしている。細かい条件検討を行いつつ、実験を遂行していく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況の軽度の遅れにより、坐骨神経損傷後のリハビリテーションが神経可塑性に与える影響についての検討を今年度内に行うことが出来ませんでした。そのため、次年度に検討を予定しており、使用額が生じた次第となります。
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