研究課題
これまでにRAGE発現により誘導される骨肉腫細胞の幹細胞化がmiR34aの発現低下とWNT5aの高発現によることを明らかにしてきた。本研究では、この骨肉腫細胞の幹細胞化機構について、腫瘍細胞と腫瘍微小環境の両視点から研究を進める。昨年度までに、マウス骨肉腫細胞の一つであるDunn細胞は、肺高転移株LM8細胞より膜型RAGE(mRAGE)および内在性分泌型RAGE(esRAGE)の発現が高く、スフェロイド形成能についても高いことを明らかにした。LM8細胞にmRAGEを過剰発現させたLM8-RAGE細胞の腫瘍形成能は、対照のLM8-mock細胞よりも高いことが分かった。ヒト骨肉腫組織(手術検体)を用いてmiR34a発現の解析を行ったが、臨床経過、原発巣や転移巣でのmiR34a陽性率には有意な相関は見られなかった。しかし、miR34a発現パターンが症例ごとに腫瘍内と周辺組織で異なっていることが分かった。以上の結果をふまえ、本年度はmRAGE高発現Dunn(Dunn-RAGE)細胞とその対照のDunn-mock細胞の皮下移植一次腫瘍形成能、スフェロイド形成能、miR34aおよびWnt5a発現の検討を行った。その結果、Dunn-RAGE細胞の一次腫瘍形成能とスフェロイド形成能はDunn-mock細胞よりも有意に高く、Dunn-RAGE細胞においてmiR34aの発現低下とともにWnt5aの発現亢進が観察できた。続いてDunn-RAGE細胞とDunn-mock細胞のエクソソーム中のmiR34a発現について解析を行ったが、予想に反して両細胞において有意な差は観察されなかった。今後、骨肉腫細胞に加え、腫瘍微小環境形成細胞のエクソソームの網羅的解析、腫瘍細胞と線維芽細胞などとの共培養の解析を行い、骨肉腫細胞の幹細胞化の分子機構を明らかにし、新たな骨肉腫治療戦略の創出へつなげていく予定である。
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