研究課題/領域番号 |
21K09415
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
松本 成史 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10288912)
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研究分担者 |
堀田 祐志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90637563)
木村 和哲 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00423848)
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 濾液 / 脂肪由来幹細胞 / 間質性膀胱炎 |
研究実績の概要 |
間質性膀胱炎は、膀胱痛や頻尿、尿意亢進、尿意切迫感などを主訴とする原因不明の難治性の膀胱炎であり、本邦の指定難病対象疾病である。間質性膀胱炎には、水圧拡張術やDMSOの膀胱内投与などが施されるが、効果は十分とは言えない。最近では幹細胞による細胞治療効果が基礎研究で報告され注目を集めている。しかしながら、幹細胞治療は細胞自体を身体に投与するため、目的の細胞以外への分化、他家移植時の拒絶反応、保存・管理の煩雑さなどの問題点を抱えている。これらの問題点を解決するため、我々は幹細胞の内容物に着目し「幹細胞濾液(FSCL)」を作成し、独自に検討を進めてきた。これまでに、間質性膀胱炎モデルラットに脂肪由来幹細胞濾液(FADSCL)を“膀胱内”に投与することで頻尿症状が改善することを初めて明らかにした。しかしながら、本製剤FADSCLを臨床へ応用するためには、FADSCL中に含まれる有効成分(活性本体)と作用機序の同定、既存治療との比較、安全性試験、大型動物での効果の実証、など多くの課題が残されている。そこで、この知見に対しさらに詳細に検討することを目的とした。 2021年度は既存薬DMSOを用いて比較検討を行った。塩酸を膀胱内に投与した間質性膀胱炎モデルを用いて、塩酸投与の翌日に50%DMSOを膀胱内投与した。7日後に膀胱内圧測定を行った。50%DMSOによりある程度の改善効果はみられたものの、FADSCLの投与に比べて効果は低かった。このことから、FADSCLによる治療効果は既存薬に比べて優位であると考えられる。次年度以降、他細胞濾液による効果の差異と成分解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究成果から、既存薬との比較試験の実施を完了し、FADSCLの優位性を明らかにすることに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はメカニズム解明として、成熟脂肪細胞、線維芽細胞濾液を用いた検討を進める。
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