研究課題/領域番号 |
21K09617
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
大江 洋子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (90803180)
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研究分担者 |
神谷 和作 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10374159)
松本 文彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (70445584)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルスSARS-CoV2 / 鼻腔感染阻害薬 / レンチウイルス / ギャップ結合複合体 / 薬剤選抜法 |
研究実績の概要 |
COVID19の初期症状に見られるように、経鼻感染が特徴的なウィルス感染症への治療法開発では鼻粘膜上皮細胞や鼻粘膜組織を用いたin vitro感染阻止能の評価実験が有効となる。レンチウイルスを利用することで、生きたコロナウイルスを扱うことなくコロナウイルスの細胞侵入のメカニズムを研究する方法にて感染実験を実施することが可能である。本研究では本学で実験可能なBSL2の範囲内で治療薬開発ができるレンチウィルスにSARS-Cov2等のウィルスの単一スパイクタンパク質(S-protein等)のみをエンベロープに置換することにより、BSL2レベルのin vitro感染実験で新興再興感染症の感染を阻止する治療薬を開発することを目的とする。これまでSARS-Cov2偽型レンチウイルス(Lenti-Cov2-S-GFP)の開発及び過剰エンドサイトーシスを抑制する候補薬剤を選抜を行った。武漢型(Lenti-Cov2-S-GFP)とベンベロープSタンパク質にD614G変異を持つ欧州型(Lenti-Cov2-S-D614G-GFP)を作成した。SARS-Cov2偽型レンチウイルスは緑色蛍光タンパク質を発現し、SARS-Cov2の疑似エンベロープとしてSARS-Cov2 S-Protein(武漢型とD614G変異を持つ欧州型)を有する、対象群として通常用いられるVSVGをエンベロープに持つレンチウィルス(Lenti-VSVG)を用い一般的なレンチウィルスへの感染との相違を求めることによりCOVID19特有の感染阻害効果を示す薬剤を選抜した。また、現在当グループで、は細胞膜タンパク質複合体であるギャップ結合複合体のエンドサイトーシスの阻害や細胞内取り込みを阻害する薬剤を当グループのスクリーニング技術(特許出願済)により選抜している。既知化合物のスクリーニングの改良により更なる候補化合物を選抜した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度よりコロナ禍により細胞実験の実施計画の変更が余儀なくされ、遅れが生じたため
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今後の研究の推進方策 |
これまで用いてきた鼻腔上皮細胞に加え、Vero細胞等の感染効率が比較的高い細胞の準備を行いin vitroウィルス感染実験を実行する。当グループの予備実験では、HeLa細胞、HEK細胞、293T細胞、ヒト鼻腔上皮細胞(HNE)への感染実験を行い GFPの陽性率により感染率を測定した。SARS-Cov2偽型レンチウイルスは一般的にウィルス感染効率の良いとされている293T細胞等よりも鼻腔上皮細胞への感染指向性が高いことが明らかとなっている。さらにVero細胞等とも比較することにより、変異株の出現にも対応した効率的・持続的な解析を行える体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からのコロナ禍が継続したことにより細胞実験計画に変更が出たため、消耗品費が減額した。次年度は細胞実験を再度行うため消耗品費が増加する予定である。
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