研究課題/領域番号 |
21K09656
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野田 哲平 九州大学, 医学研究院, 助教 (20707179)
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研究分担者 |
目野 主税 九州大学, 医学研究院, 教授 (20311764)
安井 徹郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60803468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Wntシグナル / ラセン神経節 |
研究実績の概要 |
WntシグナルのGFPレポーターマウスであるWntVISを用いて、内耳凍結切片を作成し詳細な解析を行った。Wntシグナルの活性は、蝸牛有毛細胞では観察されなかったのに対し、前庭の有毛細胞では胎生期から成体まで持続的に観察された。蝸牛支持細胞の一部でも、胎生期から成体にわたり活性が持続的にみられた。これらの細胞は蝸牛の幹細胞の候補であり、今後も解析を継続する。 ラセン神経節ではE15からP30までの解析をこれまで行ってきた。ラセン神経節ニューロンではP7まではWntシグナル活性がみられるものの、神経が成熟するP14以降では活性が失われていることが確認できた。一方でラセン神経節グリア細胞であるシュワン細胞において、若年マウスではWntシグナル活性を認めないが、成体になると一部の細胞でGFP陽性となった。ラセン神経節ニューロンが幹細胞として休眠している可能性があり、解析を続ける。 また、ラセン神経節のType 1ニューロンのみを選択的に阻害するOuabainを経正円窓的に投与し3日目に解剖したマウス内耳切片において、基底回転のラセン神経節ニューロンの著明な減少と、残存ニューロンに強いGFP蛍光を認め、Wntシグナルが細胞障害後に賦活化されうることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者の助力を得て順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Ouabainで細胞障害を起こした後のWntシグナルの反応を以下の方法で詳細に検討する。 1.経正円窓的にOuabainを投与し、1日目および7日目時点でのWntシグナル活性を切片で確認する 2.ラセン神経節器官培養系 (確立済)において、Ouabainを投与した後のシグナル活性の変遷をタイムラプス撮影で検証する 現在マウスの保管場所を移動させる途中であり、実際の実験再開が年度後半になる見込みであることから、今年度および来年度前半に行う方針としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で旅費が不要となったこと、他の研究資金がコロナ禍等の理由で繰り越しできたこと、購入予定の薬品を共同研究者から分与頂けたことなどにより、次年度に上記金額を繰り越した。 器官培養実験やマウス麻酔による実験、またWntレポーターマウスの飼養場所を移動させるため、令和4年度は相当額のマウス関連の支出を見込んでいる。また、大量の画像を3D構築するなど検討しており、コンピュータ更新も行う予定である。
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