研究実績の概要 |
昨年に引き続きCD4陽性T細胞サブセットの一つである末梢ヘルパーT(Tph)細胞と相互関係を持つ可能性がある濾胞外B細胞に注目してIgG4-RDの病態解析を行った。新しい知見として、IgG4-RD患者血液リンパ球で濾胞外B細胞の集団はそれ以外のB細胞集団と比較してIgG4陽性細胞の割合が高値であった。さらに患者血液のIgG4陽性濾胞外 B細胞の割合が血清IgG4値と正の相関を認めた。この結果からIgG4-RD患者において濾胞外B細胞がIgG4の主な産生源となっている可能性を示唆していた。 また、患者血液からセルソーターでTph細胞サブセット(Tph1, Tph2, Tph17細胞)を単離し、各細胞の表現型の検討を行った。転写因子の発現の検討でTph1はTBX21(T-bet), Tph2はGATA3, Tph17はRORC(RORγt)の発現がそれぞれ優位であり、Th1, Th2, Th17細胞のパターンと同様の傾向であったが、Tph2 細胞はGATA3に加えてTBX21の発現が高く、Th1(Tph1)細胞様の性質を兼ね備えた特殊な細胞群である可能性が示唆された。Tph2細胞は免疫疾患の病態形成への関与を含め、機能的役割について今後注目すべき細胞を考えられた。今回の研究により患者血液から遺伝子解析に十分な数のTph細胞サブセットを単離することが可能であったことから、Tph2細胞(CD3+CD4+CXCR5-PD-1hiCCR6-CXCR3-)とコントロールとしてTfh2細胞(CD3+CD4+CXCR5+PD-1hiCCR6-CXCR3-)をセルソーターでそれぞれ単離してトランスクリプトーム解析に提出し、現在結果待ちである。今後、両細胞群の転写物の比較検討を行う予定である。
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