研究実績の概要 |
ベーチェット病は全身の諸臓器に発作と寛解を繰り返す原因不明の炎症性疾患である。眼病変では網脈絡膜炎を伴うぶどう膜炎を発作的に生じることを特徴とする。重症例では網膜や視神経のダメージの蓄積により失明に至る。特異的なバイオマーカーに乏しく、複数の症状の組み合わせから診断される。今回、我々は新たなベーチェット病のバイオマーカーとして、エクソソームに着目した。エクソソームにはmiRNAやタンパク質など分子的構成要素が含まれており、細胞間シグナル伝達や需要細胞のタンパク質産生に影響を与えることで、関節リウマチや炎症性腸疾患といった炎症性疾患の病態に重要な役割を担っていると考えられている。 ベーチェット病(BD)患者および健常者の血清からTotal Exosome Isolation from Serum Reagent(Thermo Fisher Scientific社)を用いてエクソソームの濃縮・単離を行った。単離したエクソソームからTotal Exosome RNA & Protein Isolation Kit(Thermo Fisher Scientific社)を用いてmiRNAの抽出を行った。単離したエクソソーム由来のmiRNAを対象に、miRNAマイクロアレイ(SurePrint G3 Human miRNAマイクロアレイ 8×60K)(AgilentTechnologies社)を用いてゲノム全域に位置する約2,000種類のmature-miRNA(成熟miRNA、機能性miRNA)の網羅的な発現解析を実行した。得られたエクソソーム情報と臨床情報との関連について解析を行った。COVID-19の影響で台湾の中山大学との共同研究が一時中断となっていたが、会議を行い共同研究を進めていくこととなった。
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