研究課題/領域番号 |
21K09876
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
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研究分担者 |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
吉田 晋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30778866)
糸山 知宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50884433)
藤野 翔香 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (60883832)
小幡 純子 九州大学, 大学病院, 助教 (70759448)
杉井 英樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80802280)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PAX9 / 歯根膜幹細胞 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
歯根膜組織中に存在する幹細胞は、歯周組織再生において重要な役割を果たすことが知ら れているが、それらは希少な細胞集団であるため、臨床への応用は困難である。これまでに、申請者らはヒト歯根膜細胞(HPDLC)の細胞外基質(ECM)を用いることで、iPS細胞を歯根膜幹細胞様細胞(iPDLSC細胞)へと分化誘導することに成功した。しかしながら、HPDLCが産生するECMの複合体から、歯根膜幹細胞誘導因子(Factor-X)を同定することは困難である。そこで申請者らは、Factor-Xの産生を制御する転写因子に着目し、HPDLCにおける遺伝子発現について網羅的解析を行い、Paired box gene 9 (PAX9)を抽出した。 本研究では、PAX9がiPDLSC細胞への分化誘導に及ぼす影響について解析し、その下流にあるFactor-Xを同定することを目的とした。 本年度はPAX9を過剰発現させたHPDLCのECMを用いてiNC細胞を培養し、その歯根膜幹細胞誘導能について解析することを計画した。PAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株のECM上にてiNC細胞を培養し、2週間培養後に歯根膜細胞マーカーの発現について確認した結果、emptyベクターを導入した歯根膜細胞株のECMと比較して、歯根膜細胞マーカーであるCollagen1・Osteoprotegerin、Periostinの発現が上昇した。 今年度は、PAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株のECM上にて培養したiNC細胞の間葉系幹細胞マーカーの発現、多分化能ならびに増殖能について解析を行う予定である。また、PAX9をノックダウンした歯根膜細胞、PAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株ならびにそれぞれのコントロール細胞におけるタンパク発現についてプロテオーム解析を用いて網羅的解析を行い、その中からECMに関連したタンパクを抽出することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、プライマリーのHPDLCにPAX9を一過性に過剰発現させる予定としていたが、HPDLCの継代数や培養密度により、PAX9の発現状態にばらつきが出てしまった。安定した実験系を組むためには、PAX9を安定的に発現するStableの細胞を作製する必要があった。そこで、当研究室にて作製した歯根膜細胞株にPAX9を導入し、セレクションを行うことでPAX9 Stableの歯根膜細胞株を作製した。この細胞のECMを用いて実験を行うことにしたため、当初より実験計画が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株のECM上にて培養したiNC細胞の間葉系幹細胞マーカーの発現、多分化能および増殖能について解析し、PAX9における歯根膜幹細胞誘導能について解析する予定である。 また、PAX9の歯根膜幹細胞誘導能について確認後は、PAX9をノックダウンまたは過剰発現させた細胞におけるタンパクについて網羅的解析を行い、歯根膜幹細胞誘導因子の同定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後はPAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株のECM上にて培養したiNC細胞の間葉系幹細胞マーカーの発現、多分化能および増殖能について解析し、PAX9における歯根膜幹細胞誘導能について解析する予定である。この際に使用する試薬購入に予算を当てる予定である。 また、PAX9の歯根膜幹細胞誘導能について確認後は、PAX9をノックダウンまたは過剰発現させた細胞におけるタンパクについて網羅的解析を行う予定である。網羅的解析には、40~60万程度の金額がかかり、本年度行う予定である。
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