研究課題
歯根膜組織中に存在する幹細胞は、歯周組織再生において重要な役割を果たすことが知られているが、それらを得るためには抜歯が必要となるため、臨床への応用は困難である。これまでに、申請者らはヒト歯根膜細胞(HPDLC)の細胞外基質(ECM)を用いることで、iPS細胞を歯根膜幹細胞様細胞(iPDLSC細胞)へと分化誘導することに成功した。しかしながら、HPDLCが産生する複数のECMの中から、歯根膜幹細胞誘導因子(Factor-X)を同定することは困難であった。そこで申請者らは、Factor-Xの産生を制御する転写因子に着目し、HPDLCにおける遺伝子発現について網羅的解析を行い、Paired box gene 9 (PAX9)を抽出した。本研究では、PAX9がiPDLSC細胞への分化誘導に及ぼす影響について解析し、その下流にあるFactor-Xを同定することを目的とした。本年度はPAX9を効率的に過剰発現させたHPDLCのECM上にてiNC細胞を培養し、その歯根膜幹細胞誘導能について解析することを計画した。PAX9を過剰発現させた歯根膜細胞株のECM上にてiNC細胞を培養し、2週間培養後に歯根膜細胞マーカーの発現について確認した結果、emptyベクターを導入した歯根膜細胞株のECM上にて培養したiNC細胞と比較して、歯根膜細胞マーカーの発現はほとんど上昇しなかった。また、PAX9と相補的に作用するMSX1のベクター作製にもトライしたが、HPDLCにおけるMSX1の有意なタンパク発現の上昇は認められなかった。
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