研究課題
基盤研究(C)
本研究では、転写因子PAX9がiPS細胞由来神経堤細胞の歯根膜幹細胞への分化誘導に及ぼす影響について解析することを目的とした。PAX9のみを過剰発現させた歯根膜細胞の細胞外基質には、期待したほどの歯根膜幹細胞誘導能が認められなかったことから、iPS細胞から歯根膜幹細胞を分化誘導させるには、他の転写因子が関与している可能性が示唆された。また、PAX9と相補的に機能するとされているMSX1は、歯根膜幹細胞の分化誘導に関与していないことが明らかとなった。
分子生物学
歯根膜幹細胞は、歯周組織の再生において中心的な役割を持つことが知られているが、ヒト歯根膜組織から得られる幹細胞は0.07%と極めて少なく、臨床へと応用することが困難である。本研究の目的は、歯根膜細胞誘導因子を同定することであり、これによりiPS細胞から歯根膜幹細胞を簡便かつ安定して誘導することが可能となる。これは、新規歯周組織再生療法の開発につながる意義の高い研究であると考えられる。