象牙質知覚過敏症(DHS)は歯科臨床で最も遭遇する疾患の一つである。発症機構は,口腔内に露出した象牙質細管の内容液が刺激によって移動し,自由神経終末が興奮して痛みが生じるため,象牙細管を様々な材料で封鎖する治療が一般的であるが,臨床的に満足できる材料は普及していない。 リン酸カルシウムセメント(CPC)はヒドロキシアパタイトを生成する生体親和性の高いセメントであり,骨補填材として使用されている。本研究では従来のCPCを改良し,同一粒子中にα-リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムが均一に分散した単峰性を示す特徴を持った新規CPCを試作したところ,DHS抑制材として使用できることが推察された。
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