本研究では間葉系幹細胞の細胞死によって放出される因子の歯根膜細胞への影響を検討した。その結果、間葉系幹細胞にネクローシスを誘導した際に回収される因子は、歯根膜細胞に作用させると含まれるタンパク成分を介して細胞の遊走および増殖を促進する作用を持つことが明らかとなった。またこの際、塩基性線維芽細胞増殖因子や肝細胞増殖因子が作用の一部を担っていることが考えられた。一方、間葉系幹細胞にアポトーシスを誘導した際に回収される因子をマクロファージに作用させると、M2マクロファージのマーカー発現を誘導した。間葉系幹細胞が細胞死に至る際に創傷治癒過程を修飾する因子が放出されることが明らかとなった。
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