研究課題/領域番号 |
21K10115
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉田 みどり 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (30243728)
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研究分担者 |
前田 直樹 徳島大学, 病院, 講師 (10219272)
誉田 栄一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30192321)
細木 秀彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (60199502)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イメージングプレート / 口内法X線撮影 / 放射能 / セシウム |
研究実績の概要 |
福島発電所事故による放射性物質(RI)は現在でも残存し、環境基準濃度以下になるのはかなり先のことである。エネルギー政策では脱石油で液化天然ガスを燃焼させて得られる電気が中心である。電気の供給は、コストや設置場所の問題で原子力発電が柱の一つとして提案されている。原子力発電所での事故は他の発電方式によるものと異なり取り返しがつかない。チェルノブイリや福島原子力発電所の事故の終息は、まだである。 また将来的にアメリカ航空宇宙局(NASA)は地球外移住を検討している。地球外でエネルギーを得るには、原子力が不可欠となる。原子力の利用で環境中に放出されるRIの存在がわかるシステムの確立は、前述の原子力発電所事故への人々の不安を払拭する手段として不可欠である。 歯科診療所の歯科X線撮影で一般的に使われているイメージングプレートシステム(IP)は放射能測定ができる可能性がある。福島原子力発電所事故後に、いくつかの施設で医療用IPに黒い点状斑が確認されている。これは放射性セシウムが放出され沈着した結果であることが報告されている。 研究代表者らは歯科用IPによる放射能測定の研究を行い、測定時間を数日まで短縮するシステムを確立した。IPのγ線検出では、エネルギー利用効率が非常に低かったが、今回数倍の効率を可能とするIP多層システムおよび蛍光体格子システムの方法を考案した。このシステムは、地球上だけでなく、宇宙においても放射能測定の汎用性のあるシステムにもなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進んでいる。 これまでプレ照射やk吸収端を利用した方法を試み、ある程度の感度上昇はみられ、測定時間は短縮されることが知られたが、プレ照射では照射線量のばらつきにより検出時間が大きく異なった。原因はIPシステムの検出器の方式によるものであることを突き止めた。 歯科用IPシステムは2種類存在し、それぞれ最小検出放射線量が異なることを過去に報告した。この実験結果と以前の医科用CRシステムで行った結果から考えて、1つはプレ照射が有効であることが示された。しかしもう1つはプレ照射は無効であることが示された。 この原因は検出器から得られた放射線量を処理するソフトウエアの違いであることを突き止めた。この方式の解決法を考案し、予想通りの結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
Cs137による放射線を検出するために、最適なIP枚数と金属箔の種類、厚さを決定する。 またポスト照射の最適条件を決定する。 さらに蛍光体格子板の方法により検出効率を高めるための蛍光体の種類、厚さを決定する。両システムの検出効率を検討し、単独または複合型の放射線検出システムを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた多層イメージングシステムによる照射実験がシングルシステムによる新たな知見が得られたため、この実験の検証を行っていたため、多層イメージングシステムの実験は次年度に実施することとなり、次年度使用額が生じた。次年度に多層で用いるための多数の歯科用イメージングプレートを購入する予定である。
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