研究課題/領域番号 |
21K10139
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
入舩 正浩 広島大学, 医系科学研究科(歯), 名誉教授 (10176521)
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研究分担者 |
向井 明里 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30789251) [辞退]
吾郷 由希夫 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50403027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 麻酔覚醒 / ドパミン受容体リガンド / 側坐核 / 線条体 / マイクロダイアリシス法 / 脳波・筋電図測定 / ペントバルビタール / レセルピン |
研究実績の概要 |
全身麻酔からの覚醒時や静脈内鎮静時には、覚醒遅延や意識レベルの低下により呼吸抑制や上気道閉塞を起こし重篤な肺胞低換気や低酸素血症に陥ることがあるが、今のところ麻酔・鎮静深度を調節しうる有効な薬物はない。ドパミン神経刺激が意識を覚醒させることが知られていることから、本研究では、この機序を応用した方法が麻酔・鎮静深度の調節に有効か明確にし、ドパミン受容体リガンドを用いた新たな麻酔・鎮静深度調節法を開発することを目指す。 初年度の研究では、行動薬理学実験として、全身麻酔薬による鎮静や意識消失の指標としてマウスの正向反射の障害や消失をスコア化して測定した。静脈麻酔薬のペントバルビタールは20 mg/kgでは正向反射消失を示すマウスはいなかったが、軽度正向反射が障害された鎮静状態であった。また、ペントバルビタールは用量依存性に正向反射を消失させた。マイクロダイアリシス法によるドパミン量の測定では、ペントバルビタールは側坐核と線条体の両部位においてドパミン量を減少させた。ドパミン取り込み阻害薬のGBR-12909は有意に側坐核のドパミン量を増加させ、20 mg/kgのペントバルビタール投与による正向反射スコアを減少させることが明らかになった。しかし、正向反射消失作用には影響しなかった。 次年度の研究では、初年度の研究をさらに発展させ、ドパミン枯渇薬のレセルピンが側坐核のドパミン量を有意に減少させ、正向反射に及ぼすペントバルビタールの作用を増強することを明らかにした。 最終年度では、脳波・筋電図測定を行い、行動薬理学実験で得られたデータの正当性を確認した。鎮静量(20 mg/kg)のペントバルビタールはθ、αおよびβ波を増強したが筋電図の抑制は認めなかった。一方、麻酔量(40 mg/kg)ではθ、α、β波だけでなくδ波も増強し、筋電図も抑制され、鎮静と麻酔を明確に区別できた。
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