研究課題
[目的] 抗ヘルペス薬であるビダラビンは、心臓型(5型)アデニル酸シクラーゼ(AC5)阻害作用をもつこと、AC5とEpac1は密接にカップリングしているを我々は先行研究より明らかにしている。そこで本研究の仮説「咬合異常(Bite-opening:BO)による心不全ならびに心房細動の発症に、AC5-Epac1経路の活性化が重要である」という仮説の検証を野生型マウ(C57BL /6)にビダラビンを投与する方法で検証した。[方法] 雄16週齢のC57BL/6マウスを1)コントロール(CTRL)群、2)BO群 3)ビダラビン投与群(15mg/kg/day)、4)BO+ビダラビン投与群の4群に分けた。実験開始日より7日目に心エコーにて心機能評価行い、14日目心臓を摘出し、臓器重量測定後組織学的手法を用いてBOに起因する心臓線維化ならびに心筋細胞のアポトーシスに及ぼす影響とビダラビンによる抑制効果を検討した。[結果]1) 心機能(心拍出量)は、CTRL群に比較してBO群で有意に低下していたが、その効果はビダラビンの併用投与で有意に抑制された(P<0.05)。2) 線維化領域の割合はBO群ではCTRL群に比較して有意な増加が見られたが、その効果はビダラビンの併用投与で有意に抑制された (P < 0.05)。3) アポトーシス陽性心筋細胞の割合はCTRL群に比較してBO群では有意な増加傾向が見られ、その効果はビダラビン投与で有意に抑制された(P<0.05)。
2: おおむね順調に進展している
AC5阻害作用をもつビダラビンにより咬合異常に起因する心機能障害ならびに心臓リモデリングが抑制された。申請者はAC5に起因する心不全発症に、AC5の下流に存在するEpac1が重要であることを先行研究より明らかにしている(Cai W et al. BBRC 2016)。これらの研究成果より咬合異常に起因する心不全発症にAC5-Epac1経路の活性化が重要であることが示唆された。
2022年度は2021年度に作成した1)コントロール(CTRL)群、2)BO群、3)ビダラビン投与群(15mg/kg/day)、4)BO+ビダラビン投与群の4群のサンプルを用いて、1)BO処置による心筋細胞の酸化ストレスへの影響 2) 血清中のストレスマーカー(コルチコステロン)に及ぼす効果、4)BOによる心房細動の発症の検討を行う。
2021年度に行う実験がマウスの準備状況で2022年度に行うようになったため。新型コロナウイルス感染拡大により第99回日本生理学会大会がハイブリッド開催になったため。
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J Oral Biosci
巻: 63 ページ: 394-400
10.1016/j.job.2021.10.001
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