研究課題
患者や社会にとって価値ある質の高い医療を安全に提供する上で、チーム医療の重要性が高まっており、コミュニケーション、相互支援、リーダーシップといったノンテクニカルスキルやシステム思考の習得が望まれる。しかしこれらは、講義のみでは習得することは困難である上、我が国では体系的な教育や研究が遅れている分野である。本研究では、チームワークとリーダーシップ能力を高める教育方法を開発し、医療の質と安全の向上に貢献できる次世代の医師の育成に寄与することを目的としている。当該年度は、昨年度から取り組んでいた、医学教育におけるシステム思考及びチームワーク・リーダーシップについての教育及びその能力評価法に関するシステマティック・レビュー、基礎医学教育におけるチームワーク、リーダーシップ教育に関するシステマティック・レビューを行った。この結果、医学教育においてはまだシステム思考及びチームワーク・リーダーシップの能力評価法は確立しておらず、基礎医学教育におけるチームワーク、リーダーシップ教育の実践についてもほとんどなされていないことがわかった。チームワーク、リーダーシップに関する意識の評価においては、米国AHRQが開発したノンテクニカルスキル研修TeamSTEPPSで、T-TAQと呼ばれる評価尺度を使用している。この評価尺度に着目し、AHRQより翻訳権を取得し翻訳、逆翻訳を行い、医療者を対象として、妥当性、信頼性を検討する試験を行った。目標であった300人分を超えるデータが収集でき、現在解析を行っているところであり、今年度中には結果を公表できるよう準備を行っている。さらに、基礎科目でもリーダーシップ教育プログラムおよび能力評価について検討を重ね、1年生から医療安全教育を体系的に構築した上で、生理学実習の実習グループを活用した実践を試験的に開始した。
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