研究課題
不登校数は、令和4年度約30万人となり、年々5万人超増加しているが予防的支援策はないため、私たちは平成30年から本研究費(課題番号18K09962-0001・21K10365)の助成で、教育と医療が連携して早期医療介入する学校健診システムを開発してきた。方法は、学校で子どもが質問紙に回答し、ハイリスクの子どもには校医を受診するように促し、医療機関で身体症状に早期介入するシステムであり、2022年度までに7539人を対象に健診を実施した結果、早期医療介入が不登校予防に有用であることを証明した。2023年度は、3年間の研究期間に開発した学校健診システムの完成と実装検証である。1)ICT(Information and Communication Technology)用新質問紙開発新質問紙は、学校健診で蓄積した5000名のデータから心身症群に影響する項目と発達特性の項目を加え46項目を作成し、多県3市7町在席中の小学5年生から中学3年生8016名を対象に検証した。因子分析により、1.生活リズム・身体症状2.学校生活における困りごと(発達特性)3.不安・過敏性の3因子25項目が抽出された。従来の質問紙とは相関係数は0.81で、カットオフ値を26点(感度84.1%・特異度85.1%、AUC 0.92)を設定した。1県1市在住の全中学校4校在席中2355名を対象に、Test-retestの相関係数0.78と高い信頼性を検証できた。2)小児科医以外の校医用マニュアルの検証 小児科非専門の学校医向けマニュアルを作成し、学校健診実施地区の校医に配布し、講習会を開催した後、学校健診で検出されたハイリスク児への診療に使用し、稼働性を確認できた。今後、全国展開できるように、各地域の専門医による診療支援システムと医療資源を考慮した地域モデルを構築し、事業化を目指し前進させていく。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
小児内科
巻: 56 ページ: 427-430
日本小児科学会雑誌
巻: 127 ページ: 1277-1288
子どもの心とからだ
巻: 32 ページ: 42-87
巻: 31 ページ: 541-544