研究課題
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は内分泌系の調節機構であり、高血圧、腎疾患、心血管疾患など様々な疾患と関連している。腸内細菌叢(GM)は、主に動物モデルにおいて、様々な疾患と関連している。しかし、我々の知る限り、ヒトにおけるRAASとGMの関係を調べた研究はない。本研究では、全身のRAASとGM属との関連、およびそれらの因果関係を評価することを目的とした。研究対象者は、志賀町の40歳以上の一般住民377人である。血漿レニン活性(PRA)、血漿アルドステロン濃度(PAC)、アルドステロン-レニン比(ARR)、GM組成を16S rRNA法を用いて解析した。参加者はPRA、PAC、ARRの値によって高群と低群に分けられた。U検定、共分散の一元配置分析、および効果量の線形判別分析を用いて2群間で重要な細菌属を同定し、ランダムフォレストを用いた2値分類モデリングを用いて特徴の重要度を算出した。その結果、Blautia、Bacteroides、Akkermansia、BifidobacteriumがRAASパラメータと関連していた。線形非ガウス非周期モデルを用いた因果推論解析により、SBPを介したPACに対するBlautiaの因果効果が明らかになった。これらの結果は、ヒトにおける全身性RAASとGMとの関連を強化するものであり、GMを標的とした介入は、高血圧や腎疾患の新たな予防法や治療法を提供する可能性がある。今後は、ステロイドメタボロミクスやショットガンシーケンスによる腸内細菌叢の網羅的な測定結果を人工知能解析によってより詳細に検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
2023年度は、塩感受性ネットワークの一つであるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は内分泌系の調節機構と腸内細菌との関与をHypertension Researchに報告することができた。今後、ステロイドミクス解析やべつの塩感受性ネットワークの網羅的な解析によってよりネットワーク同士の深い関与を検討する予定である。
すでに、いくつかの塩感受性ネットワークの関与を認めており解析を進めている。2024年度内に論文投稿予定である。
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Hypertens Res .
巻: 46 ページ: 2280-2292
10.1038/s41440-023-01334-7.