本研究の目的は,膝関節を構成する要素(関節液,軟骨など)を分析対象とすることにより,コンタミネーションが少なく,かつ検出可能期間がきわめて長期間(数年から数十年を期待)である法医学分野での薬毒物の分析・鑑定方法を開発することである. 申請者は,ベンゾジアゼピン系薬物であるトリアゾラムが関与した解剖事例で,左右膝関節液,血液,髄液,心嚢液,胃内容物及び胆汁を採取した.これらを試料として,各試料中のトリアゾラム及び代謝物であるヒドロキシトリアゾラムの濃度を測定し,分布を明らかにした.また,法学分野で用いられる定量方法とそのバリデーションについて網羅的調査を行い,総説論文として成果をまとめた.
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