研究課題
本研究の目的は、日本国民にとって最も身近な薬物であるアルコールが脳卒中の予後に大きく影響する脳浮腫の形成にどのように関与するのか、その機序解明を目指すものである。本年度は、既報に従って単離した初代培養アストロサイトを使用した実験の解析を引き続き行った。その方法を概略すると、梗塞脳を摘出し、梗塞巣に集積したマイクログリアを単離して、初代培養アストロサイトとマイクログリアとの共培養実験を行った。初代培養アストロサイトの培地にエタノールを0-100mMの濃度で添加して、アクアポリン4mRNA発現を検討した。後述の通り、他業務の関係で解析が滞ったため、来年度は、引き続きグリンファティックシステムの関与につき検討を行う予定である。
3: やや遅れている
研究代表者は、大学に2名しかいない司法解剖担当者の1人であり、大阪府の司法解剖等体制が臨時体制になった影響に伴う業務過多、及び新型コロナウイルスの影響により、研究が予定より遅延した。
アストロサイトの虚血によりアクアポリン4が増大すること、エタノールは低濃度ではアクアポリン4発現を低下させ、高濃度では逆に増大させることが明らかとなった。来年度はこれらの機序の解明を目指し、グリンファティックシステムがどのように関与するのか、その解析を目指す。国際学会での発表はもちろんのこと、論文発表も積極的に行っていく予定であるが、国際学会の発表については社会情勢の推移により断念せざるを得ない可能性がある。
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J Cereb. Blood Flow Metab
巻: 43 ページ: 812-827
10.1177/0271678X231151569
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