研究課題/領域番号 |
21K10548
|
研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
柴田 しおり 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (70254480)
|
研究分担者 |
山下 裕紀 関西医科大学, 看護学部, 准教授 (40326319)
澁谷 幸 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (40379459)
鈴木 和代 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (70419456)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 身体感覚 / 看護基礎教育 / 技術習得 / 「動き」の支援技術 |
研究実績の概要 |
今年度の研究目標は、看護基礎教育における「動き」の援助技術教育プログラム開発のために、①臨床看護師の移動の援助技術の現状を明らかにする、②キネステティク概念に基づく動きの支援(導入)の授業事例を分析しプログラムの骨子を検討する、③ドイツの看護教育における「動きの支援」の学習に関するカリキュラムついての情報を得る、であった。①:リカレント事業でキネステティク研修を受講した看護者10名の受講後記録から、<日常行ってきた移動の援助は患者主体ではなかったと気づく><介助場面での相互作用は「移動」という目的を超えたケアであると感じた><自分の身体の緊張(力を込める)が相手にいかに影響するかを実感した><からだの動きを理解し、相手や自分の身体に意識を向けることで、お互い心地よく動くことができると知ることができた>等の体験がなされていたとわかった。以上から、キネステティク概念を学ぶことは、これまでの移乗の考え方や方法をふりかえり、尊厳あるケアを実現するためのベースとしても有意義であると考えた。 ②:基礎看護技術科目の導入的位置づけにある科目において、キネステティクに関する研修を行っているA協会の講師の授業(90分×2コマ)を分析し、以下の特徴を確認した。・発問や説明には、キネステティク概念で示される用語ではなく日常用語を汎用している・参加者自身が身体を使って体験する機会を繰り返している・比較対象できる経験を提示している・講師が学生に直接提示(ハンドリング)することで、接触によるコミュニケーションを体験させている ③:ドイツ(ウルム)の「動きの学校」の講師が派遣された研修に参加し、日本の基礎教育における動きの学習の現状について意見交換を行った。ドイツの看護基礎教育では「動きの促進」がカリキュラムに位置づけられ、そのキー概念としてキネステティクを学んでいることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が、令和3年度に病気療養により10か月間休職していたため、計画よりほぼ1年遅れてスタートした。令和4年度は、臨床看護師の移動の援助技術の現状を明らかにすることを目標としていたが、コロナ禍で臨床側への研究協力依頼が難航した。そのため、他事業のキネステティク研修受講者の反応から示唆を得るに留まり、「現状の把握」と言えるデータ収集には至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、研究計画を一部修正し、少なくとも1年の繰り越し申請を行って令和6年度には研究目的が達成できることを目指す。 具体的には、令和4年度目標②の結果をふまえて、プログラム試案を作成し、基礎看護技術の学習は終了した(ただしキネステティク概念を学習していない)看護学生を対象に、介入を行う。主観的評価とともに、動作比較分析システムによる前後比較を行い客観的評価を行う。また、ドイツの看護基礎教育における動きの学習の詳細を理解するために、ドイツの「動きの学校」「ウルム大学病院」他関連施設の視察を行う予定である。これにより、日本の看護基礎教育に位置づくプログラムへと精錬する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を約1年後ろにずらして実施しているため、主たるデータ収集を行う次年度に、研究参加者への謝金やデータ分析に要する物品費が必要である。また、基礎教育と卒後の継続教育を有機的に結びつけた実践がなされているドイツの「動きの学校」「ウルム大学病院」等への視察を次年度計画に追加したため、その旅費を予算に計上する。
|