研究課題/領域番号 |
21K10750
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
井上 奈々 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (80611417)
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研究分担者 |
北村 愛子 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (90772252)
大江 理英 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (20802416)
井上 敦子 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (00844226)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 隔離 / 遠隔ケア / 重症患者 / 家族 |
研究実績の概要 |
2021年度は、隔離状態の重症患者と家族に実施している具体的ケアを明らかにすることを目的として半構成的面接を実施した。6施設における10名の看護師を対象にインタビュー調査を行った結果、隔離状態の重症患者と家族にモバイルデバイスを用いて実施している遠隔ケアとして、以下の内容が明らかとなった。看護師が行う遠隔ケアとしては、患者と家族の双方向のコミュニケーションが円滑に行えるようにメッセンジャーの役割を担っていた。また、家族が抱える不安を軽減するために、患者の病状や変化に関する情報提供を行っていた。モバイルデバイスを用いて遠隔ケアを行う際、家族が不安にならないようビデオ通話に映り込む患者の映像に配慮することや患者の目線と合うようにデバイスの角度や位置を調整していた。遠隔ケアによる効果として、意志疎通により安心感を得ることができたり、家族からの語りにより落ち着きを取り戻したりと双方のニーズを満たすことで不安の軽減が図れていた。しかし、遠隔ケアにおける問題としては、デバイスを患者にむけると看護師が家族の様子を確認することが難しく、新たにミラリング機能を持ち合わせたデバイスが必要であることが明らかになった。また、高齢の患者と家族にとっては、モバイルデバイスの使用や操作が難しいこと、また難聴により遠隔ケアを導入することができない場合もあり、初期設定や操作時のサポート体制が必要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度中に実施予定であった隔離状態の重症患者と家族が必要と考える遠隔ケアについてインタビュー調査を実施することができなかった。2021年9月以降、近畿圏内のコロナ感染者数が急増し、調査予定であった施設の研究協力者の看護師の業務が多忙をきたしたため、延期する必要があったことが理由である。現在、感染者数の急増が見られないため、調査に向けて調整を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度中に実施予定であった隔離状態の重症患者と家族が必要と考える遠隔ケアについてインタビュー調査を行い、先に明らかとなった看護師が行っている遠隔ケアと患者と家族が必要と考える遠隔ケアに基づいて、専門知識提供班(感染看護・家族看護CNS、医師、T-ICU集中治療部最高責任者)からのスーパーバイズをもとに内容を精査し、プログラムを作成する。 その後、速やかに2022年から2023年に実施予定の研究②『隔離状態の重症患者と家族への“遠隔ケア”プログラム』を用いた遠隔ケアの実施・評価を行う。プログラム実施・調査班が所属する6施設およびプログラム開発班が所属する5施設において、各施設に所属するCNS(本研究プロジェクトチーム)または施設の協力者(看護師)が隔離状態の重症患者と家族に対して遠隔ケアプログラムを実施・評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度から予定していた重症患者と家族への遠隔プログラムの実施がやや遅れており、プログラム実施に必要なモバイルデバイスとその周辺機器の購入を延期したためである。2022年度には、プログラム作成に伴う謝金、プログラム実施に必要なモバイルデバイス等の物品購入、研究成果の発表に使用な経費等に使用予定である。
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