研究課題/領域番号 |
21K10903
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研究機関 | 大阪信愛学院短期大学 |
研究代表者 |
阪上 由美 大阪信愛学院短期大学, その他部局等, 准教授 (60711512)
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研究分担者 |
小平 由美子 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 講師 (30554886)
小西 かおる 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60332376)
足高 壱夫 大阪信愛学院短期大学, その他部局等, 教授 (70899062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャル・キャピタルキャピタル / 医療的ケア児 / 地域防災力 |
研究実績の概要 |
2021年度は医療的ケア児家族のソーシャル・キャピタル(以下SC)の構成要素を明らかにし、SC尺度の項目を作成することを目的とした。文献検討の結果、医療的ケア児・家族のSCは地域特性が大きく、大きな概念となるため抽出が困難であると考えた。一方、先行研究では地域コミュニティの活性化と地域防災力は表裏一体の関係にあることが明らかとなっており、地域防災が盛んな地域は、SCが豊かであると言われている。災害時要支援者である医療的ケア児・家族のために必要な地域防災力を向上することが、地域コミュニティを活性化し、地域の実情に応じたSCが醸成できると考える。そこで、本研究は医療的ケア児・家族の災害時の備え・防災に必要なSCの構成要素を明らかにし、医療的ケア児家族の心身の健康・生活に影響を及ぼすSCの構造を分析する。 医療的ケア児・家族の災害時の備え・防災に必要なSCの構成要素は、松山らの研究の調査フレームワークを概念枠組みとして検討していく。SCは、信頼、互酬性、社会的ネットワークの3つの要素で構成されおり、社会的ネットワークには結束型、橋渡し型、連結型がある。医療的ケア児・家族のような医療デバイスがある災害時要支援者の場合、つながりをもたない集団間の橋渡し役や連絡役を果たす「社会の中継者」の存在が重要であると考える。その中間組織には「地縁型」「知縁型」「地営型」の3類型があると言われており、SCの3つの要素以外に「社会の中継者」をSCの構成要素として検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、大阪信愛学院大学の開学準備に多大な時間を費やし研究エフォートの時間を割くことができなかった。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、医療的ケア児家族へのヒアリングの機会の制限や外部者である研究者の研究協力施設への入室制限により保健医療福祉教育分野の専門職へのヒアリングが実施できなかった。そのため、研究課題に関するデータ収集を中断せざるを得ない状況にあり、2021年に完了する予定であった調査のほとんどが2022度に実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、医療的ケア児・家族の災害時の備え・防災に必要なSCの構成要素を明らかにするために医療的ケア児家族と医療的ケア児を支援する保健医療福祉教育分野の専門職にヒアリングを行い、SCの構成要素を抽出後、研究分担者、協力者と専門家会議でSC項目の精選を行う方向で検討していく。また、医療的ケア児・家族の災害時の備え・防災に必要なSCの構成要素を明らかにするための一つの手法としてアクションリサーチ法を取り入れる。大学周辺の城東区と住吉区において地域防災力向上に向けた防災プロジェクトを立ち上げ、防災における地域コミュニティを活性化するための取組みを同時に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症により、予定していた医療的ケア児家族と医療的ケア児を支援する保健医療福祉教育分野の専門職へのヒアリングが実施できなかった。2022年度はヒアリングのための旅費やデータ整理のためのパソコン購入費用、ヒアリングのテープ起こし委託料、統計ソフトを購入する予定である。
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