研究課題/領域番号 |
21K10957
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
倉橋 理香 大阪医科薬科大学, 看護学部, 助教 (80850635)
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研究分担者 |
竹村 淳子 大阪医科薬科大学, 看護学部, 教授 (00594269)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 幼児期 / 入院 / 家族支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼児期の子どもを育てる家族が「子どもの緊急入院」という出来事に直面した時に、若手の看護師や、小児とその家族に接する機会が少ない看護師でも素早く、簡単に、的確に家族に起こった問題をアセスメントできるツールを作成することである。 まず、第1段階として計画していた文献検討を行った。緊急入院かどうかに関わらず、子どもに健康障がいが生じ、入院している子どもをもつ家族が困ることにはどういったことがあるのか明らかにするため、「入院中の子どもをもつ家族の困り事に関する文献検討」を行い、ヒューマンケア研究学会誌に資料として投稿し、採択となった。文献検討の結果、子どもの入院に伴い、付き添いが余儀なくされ、生活の場が二分されることで、家族内での役割調整が生じたり、入院中の病院での生活での心身の負担や気苦労が発生していた。また、子どもが入院した家族は、支援を必要としているにもかかわらず、支援者として最も身近である祖父母にも遠慮や気遣いがあり、支援も求めにくい状況であることが明らかになった。 文献検討を行い、子どもが入院することで、家族に生じる困り事が明らかになった。計画では、そういった困り事や家族の問題に関連する要因を明らかにしていく計画であった。しかし、要因を明らかにすることで家族の支援にどうつなげられるかという点について検討する必要があり、再度具体的な研究方法について見直しを行い、方向性を修正している段階である。家族に支援が必要な状況となるのは、子どもの緊急入院という出来事だけでなく、子どもの健康問題が生じた時や、子どもの健康問題の悪化につながる家族の状況を捉えなおすことも検討し、支援を必要とする家族の特性や看護として介入するべき視点についてさらに検討を行い計画の修正を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、第1段階として、子どもが緊急入院するという経験をした家族を対象に、聞き取り調査を行い、緊急入院をした際に家族に起こった問題、必要であった支援を明らかにしていく計画であった。しかし、その前に行った「入院中の子どもをもつ家族の困り事に関する文献検討」やその他の文献検討を進めていく中で、子どもが緊急入院するということが起こったすべての家族が支援を必要としていることではないことや、子どもの年齢や疾患の重症度や治療によっても異なること、家族員によって、子どもの入院という出来事に対する捉え方が異なることなどが明らかになってきた。 そのため、子どもが緊急入院するこということになった際に看護支援を必要とする家族は、どういった家族(家族の特性)であるか、また、状況として、緊急入院という出来事が起こった時という状況だけに限定せず、子どもに健康問題が生じた時や子どもの健康問題の悪化につながる家族の状況を捉えなおすことも再度検討していく必要があり、計画通りに研究が遂行できていない。 研究計画を立てた時点で、家族の捉え方(家族を1単位とするのか、家族員かなのか、親なのかといった捉え方)着目している家族の特徴を明確にしていなかったことや、子どもの疾患の重症度や治療経過の見通しなどについて、必要な支援が異なってくることなど詳細に検討できていなかった。そのため、研究の進行が遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、幼児期の子どもを育てる家族が、「子どもの緊急入院」という出来事に直面した時の家族に起こる問題をアセスメントするツールを作成し、看護支援の基盤とすることであった。 子どもに急な健康問題が生じやすいこと、子どもの健康問題が家族に与える影響が大きい年齢であることを考え、対象とする家族は、幼児期の子どもをもつ家族ということからは変更せず、家族の支援について検討していくことは変更ない。 文献検討を進めていく中で、「子どもの緊急入院」という出来事が起こったすべての家族が支援を必要としていることではないことや、子どもの年齢や疾患の重症度や治療によっても異なること、家族員によって、子どもの入院という出来事に対する捉え方が異なることなどが明らかになってきた。検討を進めるなかで支援を必要とするのは、家族の状況が子どもの健康状態の悪化につながるような問題が生じる時であると考えた。 幼児期では、子どもの健康問題は、親による子どもの健康管理能力によって影響を受けることになる。家族を支援していく上での、重要となる親による子どもの健康管理能力という概念について検討を行っていく。リサーチクエスチョンの再検討をおこない、具体的な研究計画の修正を早急に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
再度、子どもの緊急入院という現象や家族支援のあり方について検討していく必要性が生じ、2021年度実施予定としていた聞き取り調査を次年度へ繰り越すこととなった。 次年度は、聞き取り調査を実施していくのに必要な文具や、交通費、謝金等に加え、分析に必要なソフトの購入を計画している。
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