研究課題/領域番号 |
21K11061
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
原沢 のぞみ 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (10623077)
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研究分担者 |
長江 弘子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10265770)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | せん妄 / 脳血管疾患 / せん妄ケア |
研究実績の概要 |
2021年度は、本研究における調査の基盤となる文献レビューを実施した。 主に日本国内における実践状況における介入に向けた準備であることもふまえ、近年のせん妄に関する臨床における課題も広く情報収集を行うことも必要であると考え、特集記事等も含めた文献について広く精読した。 その結果、以下のような課題が挙げられた。 せん妄は、脳の神経ネットワークの機能不全により生じることから、その神経伝達物質に影響を及ぼす状況を回避するための対応が重要である。そのため、まずは、せん妄の病態生理学的な評価を十分に実施し、せん妄の原因を明確にしたうえで、身体的な侵襲状況を正常に整えるための医療を提供することが重要であり、さらに、発症してからではなく、発症リスクの高い状況(高齢者に対する不適切な薬剤使用など)を早期に発見し、術前よりせん妄発症リスクの低い薬剤へ変更をしていくなど、予防に重点が置かれることが、より効果的なせん妄ケアにつながっていく。そして、看護上の課題は、早期発見と対応に重要である、せん妄の評価を正確に実施していくことである。そのため、すべての患者に対して注意障害の状態に陥っていないかをアセスメントできるよう、バイタルサイン測定と同様に、患者の状態把握として常に視点を持ち関わり、スクリーニングを行っていくことが、二次障害、重症化の予防にもつながるといえる。 2020年度よりせん妄ハイリスクケア加算が診療報酬上認められるようになったこともあり、ハイリスク患者とその患者への非薬物的なせん妄対策の実施が求められている。せん妄ケアは、チームや病棟、病院全体で取り組むことによって、せん妄を発症しない医療の質が担保されるものでもある。よって、今後は、中長期的な視点での対策もふまえ、せん妄のケア構造を明確化していくことが必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、海外文献も含めた文献レビューを実施していく計画としていた。しかし、十分な時間の確保が難しかったこともあり、現状では、国内の動向をまずは確認する検討にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、文献レビューを海外文献も含めて実施していくことで、臨床上の課題を整理したうえで、今後臨床におけるデータ収集に向けて、フィールドワークを行いながら、実現可能な調査計画を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、人材確保が難しく、バイアウトが出来なかったこと、海外文献のレビューが実施できなかったため、論文取り寄せや論文校正費用の支出がなかった。 2022年度は、人件費、および海外文献の文献検討および成果報告のための論文投稿費用を支出する予定である。また、COVIDによる影響で控えていた学会参加やフィールド調査のための費用を支出する予定である。
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