研究課題/領域番号 |
21K11155
|
研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
大内 潤子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (00571085)
|
研究分担者 |
林 裕子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336409)
奥村 由美恵 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (50736436)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 口腔ケア / 口腔機能 / 摂食嚥下 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究は、入院中および在宅療養中のセルフケアが困難な高齢者を対象に、看護師あるいは家族介護者が、口腔内清掃に加え口腔機能の維持・向上を目指す黒岩メソッドによる口腔ケアを実施することで、口腔機能が向上するのかを検討することを目的としている。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、研究進度が大幅に遅れており、2023年度も医療機関でデータ収集することが出来なかった。そのため、地域の高齢者を対象とした口腔機能に関する調査を2つ実施した。 1つ目は、地域在住の生活が自立している高齢者における、社会活動への参加頻度と舌の運動機能の関連を検討したものである。地域の福祉センター等で募集した58名(男性10名、女性48名、平均年齢78.19歳、標準偏差7.87歳)を対象に、社会活動を身体活動・文化活動・地域活動の3種類に分類し、各社会活動への参加頻度とta音を1秒間に出来るだけ早く発音した回数であるオーラルディアドコキネシス(以下、ODKとする)との関係を検討した。その際、年齢、性別、下腿周囲長を統制した。その結果、身体活動への参加頻度とta音のODKとの間に有意な正の相関関係を認め、身体活動を中心とした社会活動への参加頻度が高い人ほど、舌の運動が良好であることが示唆された。 2つ目は、地域の自立高齢者の舌口唇運動の経年変化に影響を与える要因を検討したものである。地域の自立高齢者50名(男女25名ずつ、2024年時点の平均年齢77.78歳、標準偏差4.75歳)を対象に、コロナ禍前の2019年のODKを1としたときの2024年の測定値の比に関連している要因を検討した結果、年齢が高くなるほど、また、栄養状態が悪い高齢者ほど、2019年と比較し2024年のpa音とta音のODKの値が減少しており、舌口唇運動が低下している傾向が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の進捗が遅れているのは,新型コロナウイルス感染症の発生に伴う様々な規制と,その後の医療機関における人員不足や管理体制の変化が最大の理由である。2021年は,新型コロナウイルス感染症の流行により,研究協力機関は,感染対策に注力しなければならず,外部者の出入りは不可能であった。さらにゾーニングや退職者等により人員不足であったり,感染対策に伴う業務量の増加や病床管理の観点からも口腔ケアの評価に協力できる状態ではなかった。訪問看護ステーションも同様の状況であった。それは,2022年も続き,2023年5月に,5類感染症になった後も同様であった。また,研究者側も,行動制限が多かったり臨地実習等の在り方が変化し時間を要したことから,大学およびその所在地を離れることが難しくなったため,さらに,研究に大きな遅れが生じた。 このような状況のもと,当初の研究協力機関からは今後の研究協力は困難ということで回答があり,黒岩メソッドの導入から始めて,データを収集するという当初の計画の実施が不可能となった。それに伴い,計画の大幅な変更と,新たな研究協力機関の選定とデータ収集に向けた調整に時間を要し,当初の計画からかなり遅れているのが現状である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の進捗が遅れているのは、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う様々な規制と、その後の医療機関における人員不足や管理体制の変化が最大の理由である。2021年は、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究協力機関は、感染対策に注力しなければならず、外部者の出入りは不可能であった。さらにゾーニングや退職者等により人員不足であったり、感染対策に伴う業務量の増加や病床管理の観点からも口腔ケアの評価に協力できる状態ではなかった。訪問看護ステーションも同様の状況であった。それは、2022年も続き、2023年5月に、5類感染症になった後も同様であった。また、研究者側も、行動制限が多かったり臨地実習等の在り方が変化し時間を要したことから、大学およびその所在地を離れることが難しくなったため、さらに、研究に大きな遅れが生じた。 このような状況のもと、当初の研究協力機関からは今後の研究協力は困難ということで回答があり、黒岩メソッドの導入から始めて、データを収集するという当初の計画の実施が不可能となった。それに伴い、計画の大幅な変更と、新たな研究協力機関の選定とデータ収集に向けた調整に時間を要し、当初の計画からかなり遅れているのが現状である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、研究の進捗が大幅に遅れていることに伴い、データ収集や結果発表に伴う旅費や諸経費の出費が少なかったことが主な理由である。しかし、2024年度にデータ収集を数ヶ月に渡り実施する予定であり、研究協力機関が大学所在地から遠方であることから、旅費等の支出が見込まれる。また、研究結果をまとめ、発表する際にも、国内外の学会での発表および学術雑誌への投稿を予定しており、それに対しても研究費を使用する予定である。
|