本研究は、痙縮に対してIa活動抑制の効果を確認した。脊髄損傷後の痙縮をH反射の刺激頻度依存性減弱(RDD)という現象が弱化することを指標に評価したところ、Ia活動を抑制する試薬を投与したマウスでは、試薬を投与しないマウスと比較して、H反射のRDDが確認された。つまり痙縮が軽減することを確認できた。次に痙縮病態の一つに、脊髄神経回路の不適応な変化が生じることが知られている。その一つにIa-alpha運動神経細胞の過剰な接続がある。今回Ia活動を抑制したところ、この過剰な接続数が正常化することが確認された。これらの結果は、痙縮の新たな治療法の開発につながる成果と言える。
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