研究課題/領域番号 |
21K11420
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
糸魚川 善昭 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30771810)
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研究分担者 |
菅 幹生 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (00294281)
高澤 祐治 順天堂大学, 医学部, 教授 (00407280)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肩 / エラストグラフィ / 野球 / 投球障害 / 超音波 / 動作解析 / 筋 |
研究実績の概要 |
オーバースロー動作による肩障害は肩周囲の硬さが要因と言われており、32名の大学野球男子選手を対象とし、18m離れたネットに向かって20球全力投球を行い、投球前後に弾性率(硬さ)計測できる超音波剪断波エラストグラフィ(SWE)を用いた硬さの計測、筋力測定を行い、モータスを使って腕のスピード、アームスロットなどの動作解析との相関を調べた。SWEは棘上筋、棘上筋腱、棘下筋、棘下筋腱、小円筋、小円筋腱、肩甲下筋腱、小胸筋、下部僧帽筋、広背筋、後方関節包、後下方関節包を測定した。筋力は肩関節外転屈曲0°の内外旋、肩関節外転90°の内外旋、肩関節屈曲90°の内外旋に対してDynamometer IsoForce Control EVO2を用いて計測した。結果は投球前後で筋力は全ての項目において有意な変化を認めなかったが、SWEで投球後、投手は小円筋と広背筋の数値が上昇、野手では小円筋は上昇したが、小胸筋は低下するという、ポジションによる硬さ変化の違いがある事が証明された。またアームスロットと僧帽筋の硬さに正の相関を認め、腕のスピードと小円筋の硬さとは正の相関も認めた。投球動作で僧帽筋への負荷が違い、腕の振りが早い選手ほど小円筋に対するケアが必要で、さらにポジションによってもコンディショニングを変える必要がある可能性征が示唆された。今回の結果はJ Clin Medにアクセプトされ英語論文にて報告し、さらに2023年の日本整形外科学会、日本スポーツ整形外科学会、日本整形外科学会基礎学術集会、国際肩肘学会と国内のみならず海外の学会でも発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度MRエラストグラフィを用いて投球障害肩をさらに解析する予定であったが、MRエラストグラフィのヒトへの実験の許可がおりておらず、すすめられていないため。
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今後の研究の推進方策 |
モータスは動作解析を正確に計測出来ないという報告もあり、今年度正確に動作解析を計測できるLiberty (POLHEMUS社製)に対する解析用ソフトを国内で初めて導入したため、それを用いて比較検証する事、またそのデバイスとSWE値との関係や投球時肩痛のある選手とない選手を調べ、投球時痛との関係を調べる予定である。また現在倫理委員会申請中であるが、野球選手では肩のみならず肘の障害も多いため、肩で行った手法を用いて肘の内側側副靱帯、浅指屈筋、回内筋、尺側手根屈筋をフォーカスに肘の実験も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動作解析を正確に計測できるソフトの開発を国内で初めて行ったが、それの完成が昨年度で待ち時間があったため、実験の開始が遅れ、さらにMRエラストグラフィのヒトを対象とした実験がまだ始まっていないため差額が生じた。差額分を使用して2024年度にそれらの実験と学会発表や論文発表を行う予定である。
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