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2023 年度 実施状況報告書

スポーツ場面における体罰の実行を抑制する状況要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K11551
研究機関香川大学

研究代表者

上野 耕平  香川大学, 教育学部, 教授 (20311087)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード体罰 / スポーツ指導者 / 不正のトライアングル / 犯罪機会論 / 環境心理学
研究実績の概要

本研究は「子どもを体罰から守るためにはどうすればいいのか?」を学術的「問い」とし,例え指導者が体罰を厭わない(子どものことを考えての体罰は許されると考える)人物であったとしても,そうした人物から子どもを守ることのできる環境,つまりは「体罰が行われにくい状況」を解明することにより,子どもを体罰から守るための具体的方略を提言することを目的としていた。
研究1年目は,公認スポーツ指導者資格を有する指導者158名を対象とした調査の結果,指導者に対する「保護者からの期待」が,スポーツ指導者を体罰に駆り立てている可能性が窺われた。そこで研究2年目は,指導者が保護者を中心とする周囲から受けている期待・プレッシャーの内容について,公認スポーツ指導者資格を有する指導者136名を対象として調査を行った結果,「礼儀」の指導に対する保護者の期待が指導者による「威圧」を助長することを示す結果が得られた。ただし本結果は,指導者から得られたデータに基づく分析結果であることから,次年度は保護者を対象に調査を実施し,指導者に対して保護者が期待する内容を確認することにした。
そこで研究3年目は,小学生及び中学生の子どもをスポーツ活動に通わせている保護者362名を対象として,1)スポーツ指導に対する期待,2)体罰の容認度に関する質問に対する回答を求めた。分析の結果,1)保護者の多くは,勝利や成績を残すことに対する期待が比較的低いものの,体力・技術,挨拶・礼儀,努力・我慢,協力,楽しさ全ての側面の指導に対して高い期待を頂いている,2)小学生の保護者では,努力に対する期待が高い保護者ほど,中学生の保護者では,勝利を期待する保護者ほど体罰容認度が高くなることを示す結果が得られた。本研究の結果,保護者は多くの期待をスポーツ指導に寄せていると共に,一部の指導に対しては体罰を容認する可能性が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍を経て対面による調査機会が減少するなかにあって,オンラインによる調査方法を選択することにより何とか調査は実施できた。当初の計画内容は十分にクリアできていることから,研究は順調に進んでいると言える。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果から,体罰の実行や容認に結びつきやすい「指導に対する期待」が明らかになってきた。しかし,それらの期待がなぜ体罰の実行に結びつくのかについては推測に頼る部分が大きい。今後は,指導者を取り巻く環境に注目して調査を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究1・2年目を中心として,コロナ禍において調査機会となる指導者研修会が延期されたことにより,調査の実施がずれ込み,次年度使用額が生じた。一方で研究3年目の成果については,令和6年7月にオーストリアで開催されるヨーロッパスポーツ心理学会において発表することが決定しており,その際の参加費・旅費として支出する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] スポーツ指導者による体罰を助長する保護者からの期待2023

    • 著者名/発表者名
      上野耕平
    • 雑誌名

      香川大学教育学部研究報告

      巻: 9 ページ: 37-43

  • [学会発表] Parents’ Expectations that Facilitate Corporal Punishment by Coaches2023

    • 著者名/発表者名
      Kohei Ueno
    • 学会等名
      28th Congress of the European College of Sport Science
    • 国際学会
  • [学会発表] スポーツ指導者による体罰を助長する保護者からの期待2023

    • 著者名/発表者名
      上野耕平
    • 学会等名
      日本スポーツ心理学会第50回大会

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公開日: 2024-12-25  

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