研究実績の概要 |
母乳由来プロバイオティクス、またはプレバイオティクスとしての有効性を確かめるために以下の研究を行った。 アゾキシメタン (AOM)/デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) 炎症性発癌マウスモデル(CACモデル)を作成し、母乳由来乳酸菌Lactobacillus rhamnosus Probio-M9を用いて、投与実験を行なった結果、Probio-M9 治療により、CAC モデルにおける腫瘍の数が減少するだけでなく、便粘稠度スコア、脾臓重量、炎症スコア、およびマクロファージの発現も減少した。腸内微生物叢を評価するために、4 つの時点で糞便を採取し、メタゲノム解析した結果、Probio-M9は重要な細菌 (Lactobacillus murinus、Muribaculaceae 細菌 DSM 103720、Muribacu-lum) を制御し、AOM/DSS によって破壊された腸内微生物叢の構造、組成、機能の回復を促進した。他に、Probio-M9 とCaco-2 細胞の共培養実験を行い、タイトジャンクション構成タンパク質の発現について観察を行なった結果、LPS(リポ多糖)類誘発性のCaco-2 細胞タイトジャンクション結合障害はProbio-M9の添加によって抑制された。 動物実験については、それぞれ異なる動物実験施設にて、異なる性別のCACモデルマウスで検証を行い、M9による改善効果を確認することができた。他、ミルクオリゴ糖であるラクツロースによる炎症性発癌改善作用についても同じくCACモデルで検証した。以上の結果を下記の3つの論文として研究論文を公表した。
Xu H, et al. Nutrients 13(4): 1143, 2021 ; Hiraishi K, et al.Nutrients 14(3): 649, 2022 ; Feiyan Z, et al. Biomedicines 12: 531, 2024
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