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2021 年度 実施状況報告書

通信量削減と低遅延応答のための分散協調キャッシュサーバアーキテクチャに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K11805
研究機関電気通信大学

研究代表者

吉永 努  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60210738)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード動画配信 / コンテンツ配信ネットワーク / ユーザQoE / FPGA実装 / 低遅延サービス / 低消費電力化 / 分散協調キャッシュ / D2D通信
研究実績の概要

2021年度は,ネットワークの動画配信サービスを対象として,以下の研究を実施した.
1.高負荷時にも配信サービスが停止しにくいキャッシュサーバの設計
ユーザからのリクエスト量の時間変化分を予測し,高負荷時には配信する動画の画質を自動的に低下させる方式を採用する.動画のキャッシュサーバは,通信負荷に合わせてより重要なデータのヒット率が向上するように,画質毎の優先度付きキャッシュ制御を行う.提案方式を組み込んだコンテンツ配信ネットワーク(CDN)シミュレータを作成し,優先度付きキャッシュ制御方式の有効性を考察した.実験の結果,優先度付きキャッシュは従来方式のユーザQoEを改善できることを確認した.また,モバイルデバイスで構成する分散協調キャッシュとの併用についても検討した.
2.FPGA搭載型キャッシュサーバの設計
動画配信ネットワーク用のキャッシュサーバにFPGAボードを搭載し,FPGAに実装する専用ハードウェアによってネットワークの通信プロトコル処理,コンテンツ検索,メモリ(DRAM)やストレージ・アクセスを実行する.FPGA実装の目的は,キャッシュ制御処理の低遅延化,低消費電力化である.2021年度は,FPGAに実装するキャッシュ制御ハードウェアを試作し,まず単発のユーザリクエストを処理する実験を行った.予備実験の結果,FPGAを用いたキャッシュ制御のハードウェア化によって,ユーザリクエスト処理の低遅延化が実現できる見通しを得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍でテレワークを強いられた期間は,実験室での作業が行えなかったこともあり,進捗状況はやや遅れている.

今後の研究の推進方策

テレワーク以外に,実験室での作業も可能になったので,今後の研究を以下の通り進める.
1.コンテンツ配信ネットワーク用の優先度付きキャッシュの性能改善
近年のユーザは,スマートフォンなどのモバイルデバイスで動画視聴することが多い.そこで,モバイルデバイス内のストレージを小容量キャッシュとして活用し,デバイス間(D2D)通信によって近隣のデバイスからコンテンツを得る方式について検討する.このとき,デバイス内のストレージを優先度付きキャッシュとして構成し,無線ネットワーク上で分散協調させる方式の設計とその有効性検証を行う.
2.FPGA搭載型キャッシュサーバの改良
ネットワーク経由で受信するユーザからのリクエストメッセージを低遅延で処理するため,FPGAに直接接続したネットワークインタフェースからの受信データをFPGA内に実装する専用ハードウェアで監視し,リクエストメッセージを受信すると直ちにリクエストIDを切り出してキャッシュの検索を行う機構を実装する.また,2021年度は単一のリクエスト処理だけしか実験していないため,今年度は連続して受信するリクエストへの応答を高スループットで実行する仕組みを導入する.

次年度使用額が生じた理由

2021年度は,コロナ禍等の理由で予定よりも実験が遅れ気味となり物品費の支出ができなかった.また成果発表の出張もできなかったため,旅費も使用できなかった.
2022年度の研究費使用計画として,当初予定していた実験のためのコンピュータ購入,FPGA実験に使用するIPコアのライセンス料金,実験補助のための学生への謝金,成果発表のための旅費の支出を予定している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A Failsoft Scheme for Mobile Live Streaming by Scalable Video Coding2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Okada; Masato Yoshimi; Celimuge Wu; Tsutomu Yoshinaga
    • 雑誌名

      IEICE Transactions Information and Systems

      巻: E104-D,12 ページ: 2121-2130

    • DOI

      10.1587/transinf.2021PAP0015

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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