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2022 年度 実施状況報告書

通信量削減と低遅延応答のための分散協調キャッシュサーバアーキテクチャに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K11805
研究機関電気通信大学

研究代表者

吉永 努  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60210738)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード動画配信 / コンテンツ配信ネットワーク / FPGA応用 / 低遅延通信 / 低消費電力 / 分散協調キャッシュ / D2D通信 / ハンドオーバ
研究実績の概要

2022年度は,ネットワークの動画配信サービスを対象として,以下の研究を実施した.
1.高負荷時にも配信サービスが停止しにくいキャッシュサーバの設計と改良
モバイル端末ユーザが通信基地局から受信するデータの受信性能は,基地局からの距離に依存する.また,通信混雑時には受信する動画の画質を自動的に低下させながら,デバイス間(D2D)通信を活用することが有効である.ただし,D2D通信を行うモバイル端末を分散協調キャッシュサーバとして用いる場合,限られたキャッシュ容量をヒット率の高い再利用データに割当てることが重要となる.そこで,通信基地局からモバイル端末までの距離に応じて同心円状の受信領域を設定し,通信基地局に近い受信領域では高画質データ用のキャッシュ領域を多く持たせ,逆に通信基地局から遠い受信領域では低画質データ用のキャッシュ領域を多く持つように制御するLBCA(Load-Based Cache Allocation)方式を提案した.ネットワークシミュレーションによる予備実験を行い,従来方式に対してLBCA方式で動画の視聴特性が改善できることを確認した.
2.FPGA搭載型キャッシュサーバの設計と改良
コンテンツ配信ネットワーク用のキャッシュサーバにFPGAボードを搭載し,FPGAに実装する専用ハードウェアによってキャッシュ制御処理の低遅延化,低消費電力化を図る.2022年度は,自動車に対するネットワークにおけるモバイルエッジ計算(MEC)サーバにFPGA搭載型キャッシュを応用する方式を検討した.MECサーバにFPGA搭載型キャッシュを導入することで,車のハンドオーバ時のデータ受信遅延を削減することが期待できる.シミュレーションによる予備実験を行い,ソフトウェアでキャッシュを制御する方式に比べ,FPGAによってキャッシュ処理の低遅延化が実現できる見通しを得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度と2022年度はコロナ禍の影響を受け,実験室での実験が一部滞ったことにより,進捗はやや遅れている.

今後の研究の推進方策

2023年度の研究推進方策は以下の通りである.
1.コンテンツ配信ネットワーク用の分散協調キャッシュの改善と評価
2022年度に提案したLBCA方式による分散協調キャッシュについて,より実践的な環境を想定したシミュレーション実験を行い,無線通信の電波強度と通信データの再利用度を考慮したキャッシュ制御方式の改善を行う.
2.FPGA搭載型キャッシュサーバの改良と評価
モバイルエッジ計算(MEC)サーバにFPGA搭載型キャッシュを応用する方式について,FPGA内に実装する専用ハードウェア設計を改良すると共に,より現実的な条件でのネットワークシミュレーションを行い,キャッシュ制御処理の低遅延化と低消費電力化の性能評価を行う.

次年度使用額が生じた理由

2021,2022年度は,コロナ禍等の理由で予定よりも実験が遅れ気味となり一部の物品費の支出ができなかった.また成果発表の出張も一部がオンライン開催となったため,旅費も計画通りに使用できなかった.
2023年度の研究費使用計画として,シミュレーション実験に使用するコンピュータ購入,FPGA実験に使用するIPコアのライセンス料金,実験補助のための学生への謝金,成果発表のための旅費の支出を予定している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Load-based Content Allocation Scheme for Realizing Efficient Mobile Cooperative Cache2023

    • 著者名/発表者名
      Taiki Akiba, Celimuge Wu and Tsutomu Yoshinaga
    • 雑誌名

      International Journal of Networking and Computing

      巻: 13, 2 ページ: 93-117

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] モバイル分散協調キャッシュにおけるマルチホップD2D通信の活用2023

    • 著者名/発表者名
      宮原雅司・秋場大暉・萩原賢・策力木格・吉永努
    • 学会等名
      電子情報通信学会,信学技報, IEICE-CPSY2022-96
  • [学会発表] モバイル分散協調キャッシュにおけるユーザQoE向上のためのコンテンツ配置手法2022

    • 著者名/発表者名
      秋場大暉・策力木格・吉永努
    • 学会等名
      電子情報通信学会,信学技報, IEICE-CPSY2022-7
  • [学会発表] Load-Based Content Allocation for Mobile Cooperative Cache2022

    • 著者名/発表者名
      Taiki Akiba, Celimuge Wu and Tsutomu Yoshinaga
    • 学会等名
      Proc. of the 13th International Workshop on Advances in Networking and Computing (WANC2022)
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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