研究課題/領域番号 |
21K11829
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楠本 真二 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (30234438)
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研究分担者 |
肥後 芳樹 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (70452414)
松本 真佑 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (90583948)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ファンクションポイント / 見積り / ヒューマンスキル / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,ソフトウェア開発の特徴に応じてファンクションポイント(FP,ソフトウェアが利用者に提供する“機能”規模を計測したもの)をベースにした見積り基盤環境の提案と超上流工程・保守の見積り手法の開発を目的としている.
今年度は超上流工程における見積り手法の開発を中心に実施した.提案手法は日本語で記述された機能仕様書に対し,深層学習モデルを用いてFP計測を支援する手法である.通常,FP計測における基本機能要素の認識,すなわちデータファンクション(DF)とトランザクションファンクション(TF)の計測は手作業で行われる.提案手法では,基本機能要素認識部分を固有表現認識(NER, Named Entity Recognition)を用いた FP 認識モデルで代用している.つまり,機能仕様書(過去に開発されたもの)の文章上で,5つの基本機能要素とそれ以外に相当する部分に,それぞれ個別のラベルをつける.具体的には,ラベル付けされた機能仕様書を入力としてFP認識の学習モデルが作成し,その学習モデルに対して,FP計測対象の機能仕様書(ラベル付けされていない)を入力することで,モデルで推定されたラベルが付与された機能仕様書が出力される.そのための見積支援環境を実装し,3つの題材を対象に評価実験を行った.題材それぞれについて得られた学習モデルは学習データに対しては高い精度で基本機能要素の識別に成功したものの,試験データに対する評価結果では1つの題材を除いて,あまり高い精度を得られなかった.分析の結果,機能仕様書の記述文章の形式化や典型的な処理に対して用いる用語の統一などを行うことで精度の向上が見込まれることが確認できた.
研究機関全体としては,実施計画としての,見積りリポジトリへの登録情報の定義と収集,超上流工程での見積,見積支援環境の提案のそれぞれについて概ね達成できたと判断している.
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