研究課題/領域番号 |
21K11830
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
谷口 秀夫 岡山大学, 自然科学研究科, 特命教授 (70253507)
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研究分担者 |
乃村 能成 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70274496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | OS / 不揮発性メモリ / 実行ファイル形式 / ページ例外処理 / ODP / 仮想記憶 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、不揮発性メモリ品のデータ格納形式と挿抜機能の考案、およびページ例外処理におけるデータ複写を削減する機構を実現し、プログラム実行時の効果の定式化と分析を行い、有効性を明らかにした。 具体的には、揮発性メモリと不揮発性メモリ(以降,NVメモリ)を混載した環境において、要求時ページング(以降,ODP)処理を高速化する新たな実行ファイル形式(OFF2F: Object File Format consisting of 2 Files)を用いて、揮発性メモリに比べ、NV メモリはアクセス速度が低速であることを考慮した検討を進めた。その結果として、プログラムの実行時間を定式化し,NV メモリの低速なアクセス速度による実行時間の増加量とODP 処理の高速化による実行時間の減少量を考慮することで、OFF2F の性能を予測した。キャッシュヒット率が99 %の場合、OFF2Fプログラムの実行時間は、ELF プログラムの実行時間に比べ約41.7 %短縮できることを示した。一方で、外部記憶装置の性能向上に比例し、OFF2F の効果を得るために必要なキャッシュヒット率は高くなることを示した。 また、OFF2F プログラムに関し,FreeBSD上で実行環境を構築し,実行し,実測し,同様な計算機で行ったELF(Executable and Linkable Format)プログラムとの比較評価を行った。 たとえばcc では実行時間を約1/5 に短縮できることを明らかにした。なお、擬似NV メモリは揮発性メモリを利用しているため、現存のNV メモリは読み込み速度が約2 倍遅いことを考慮すると、その効果は15%減である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不揮発性メモリ品のデータ格納形式と挿抜機能の考案、およびページ例外処理におけるデータ複写を削減する機構の実現、プログラム実行時の効果の定式化と分析といった研究項目を着実に進めており、研究成果として、論文誌論文1件、国際会議1件、発表論文4件を得ている。これらのことから、研究は順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、既存計算機を用いて不揮発性メモリを搭載した計算機環境のシミュレート環境を構築し、プログラム実行の効果を明確にし、仮想記憶機構により、データ入出力なしでプログラムが読み書きできる操作機構を確立し、実用計算機における実装と評価を行い、技術を確立する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響を受け、学術学会などの開催がオンライン化され、出張が減少し、出張経費に残額が生じたためである。 令和4年度は、学術学会などの開催がオンラインと現地の併設になる傾向があり、この残金は、令和4年度の出張経費に充てる。
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