平成5年度は、不揮発性メモリと揮発性メモリではメモリアクセス性能が異なることに着目して、入出力性能や通信性能に依存する処理の性能を評価するために、通信処理におけるパケットトレーシングをeBPFを用いて行う機構を実現した。さらに、不揮発性メモリの脱着(活性挿抜)に伴うOS処理機構の検討を進め、新たな仕組みを確立した。 研究期間全体としては、不揮発性メモリ品のデータ格納形式と挿抜機能の考案、不揮発性メモリの活性挿抜に伴うOS処理方式の確立、およびページ例外処理におけるデータ複写を削減する機構の実現と共にプログラム実行時の効果の定式化と分析を行い、有効性を明らかにした。また、不揮発性メモリと揮発性メモリではメモリアクセス性能が異なる影響として、入出力処理を含めたプロセスの処理性能が異なることについて、入出力性能を調整する手法に着目してその調整精度を向上させる方式を確立した。通信処理の性能については、通信処理におけるパケットトレーシングを取り上げ、その性能を評価し、不揮発性メモリ環境下での通信処理を含めたプロセスの処理性能の試算精度を向上させることができることを示した。なお、揮発性メモリと不揮発性メモリ(以降,NVメモリ)を混載した環境において、要求時ページング(以降,ODP)処理を高速化する新たな実行ファイル形式(OFF2F: Object File Format consisting of 2 Files)を用いて、揮発性メモリに比べ、NV メモリはアクセス速度が低速であることを考慮した検討を進め、プログラムの実行時間を定式化し,NV メモリの低速なアクセス速度による実行時間の増加量とODP 処理の高速化による実行時間の減少量を考慮することで、OFF2F の性能を予測し、プログラム実行時間を短縮できることを示した。
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