研究課題/領域番号 |
21K11979
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大本 義正 静岡大学, 情報学部, 准教授 (90511775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒューマンエージェントインタラクション / インタラクションモデル / 内部状態推定 |
研究実績の概要 |
本年度は、目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」に関する実験および分析を中心に実施し、目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」の為の基盤整備を並行して行った。 目的1では、非言語的な指示を伴うダンスタスクにおける相互調整実験、人間とエージェントの嗜好を同調させることによる相互行動モデル推定の促進実験、主体的な介入と明示的な情報提示によるコミットメント向上実験、共同作業中に説得されることによる心理的負荷計測実験、等によって、相互他者モデル推定を行うことによる様々なタスクにおける影響を調べ、観測可能な人間の振るまいデータから、相互他者モデル推定の変化を捉える為のいくつかの手がかりを見つけた。 目的2では、相互他者モデル推定フレームワークを実装するための基礎となるエージェントの実装を行った。加えて、比較的長いインタラクションにおいて、相互他者モデル推定をし続ける心理的状態を維持するための基本的な行動モデルのひとつを作成した。特に、エージェントが人間と積極的な関与を行わない場面、つまり、特定のタスクを実行していない場面でのエージェントの振るまいが、複数のタスクをまたいで相互他者モデル推定をし続ける心理状態を維持する上で重要であるため、情報の収集と共有をエージェントの基本的な欲求として設定し、その振る舞いを人間に見せ続けるエージェント行動モデルを組み込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」においては、当初の予定よりも多くのインタラクション場面における実験を実施して、様々なヒューマンエージェントインタラクションにおけるインタラクションデータを取得できた。一方で、一般的な状況で取得できるデータでは、相互他者モデル推定の手がかりとなる情報にタスク依存性が高いことが示唆される結果も得られたため、相互他者モデル推定フレームワークを実装するための具体的な場面についての検討を引き続き行う必要が生じた。しかし、2年目より手をつける予定であった、目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」の為の基盤整備については、基礎的な実装を終えた上、相互他者モデル推定をし続ける心理的状態を維持するための基本的な行動モデルを作成することができた。 従って、全体としてみると、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初計画に沿って発展させていく。具体的には以下のように推進する。 目的1「協調課題における相互他者モデル推定を伴うインタラクションのモデル化」においては、実装する具体的な場面の検討を引き続き行った上で、その場面に適用できるドメインスペシフィックなモデルを構築することをすすめる。人間の内部状態の推定については、生理指標の利用をより積極的に行うことで、モデル推定のタスク依存性を低下させることを検討する。 目的2「相互他者モデル推定フレームワークの開発とそれによる支援の検討」においては、目的1で設定した具体的な場面における実装を進め、Cycle-GANの枠組みを参考に、相手の行動モデルと自分の行動モデルを相互に変換する、相互他者モデル推定の基本的なフレームワークの構築を目指す。
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