研究課題/領域番号 |
21K12062
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
楠木 祥文 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 講師 (30588322)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / プロトタイプ分類モデル / ファジィ最大値関数 / 数理最適化 |
研究実績の概要 |
本件研究の目的は,モデルとモデリングの透明性を備え,かつ,高い汎化性能をもつ機械学習手法を開発することであり,そのために,機械学習モデルの一つであるプロトタイプ分類モデルを研究している.本年度の実績として,まず,種々のファジィ最大値関数に基づくプロトタイプ分類モデルを考え,マージン最大化に基づくその学習手法を提案した.プロトタイプ分類モデルは,データを複数のクラス(グループ)に分類する手法であるが,分類先のクラスに対して複数のプロトタイプを用意し,データ点との距離が最小となるプロトタイプのクラスにそのデータ点を分類する.このとき,最小距離による分類は,最も近いプロトタプのみに依存するため,プロトタイプ配置の学習が訓練用データに敏感に影響すると考えられる.そこで,最小距離の計算に用いられる最大値関数をファジィ化することで,クラス分類に対して2番目や3番目に近いプロトタイプが影響するようにモデルを改良した.最大値関数のファジィ化については,既存のファジィc平均法の考え方を用いた.つまり,正則化関数の導入によって関数のファジィ化を行う.提案したファジィ最大値関数は,エントロピー正則化,2次関数正則化,最大値関数正則化,2次制約正則化,最大値制約正則化(k最大値関数)である.さらに,従来のクリスプなモデルに対する学習手法を修正することで,各分類モデルの学習手法を提案した.数値実験によって,各分類モデルに対する学習が妥当な結果を与えることを確認した.また,いくつかのベンチマークデータにおいて,従来のクリスプなモデルよりも高い汎化性能を示すことも確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で計画していた,プロトタイプ分類モデルのファジィ化は順調に進展している.数値実験を行った結果,従来法と比較して分類性能がある程度向上することがわかった.また,モデルのパラメータが分類性能やプロトタイプの配置にどのように影響するかを調べた.数値実験の結果,ファジィ化で必要となる正則化関数が,モデルの学習時に意図しない影響を与えていることがわかり,学習方法の修正は必要であると考えられるが,研究計画の大きな変更とはならない.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を論文にまとめ雑誌に投稿する.それと並行して,モデルの学習時に,意図しないファジィ化の影響が確認されたので,その修正を検討する.また,研究計画で挙げている,距離関数の変更やパラメータ化による改良方法についても具体的に提案し,その性能を数値実験によって調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
*当該助成金が生じた状況 多くの研究発表会がオンライン開催になり,旅費が不要になったため.計算機の調達が間に合わなかったため. *翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画 当該年度に購入予定だった計算機を購入する.旅費や論文印刷代に使用する.
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