研究課題/領域番号 |
21K12191
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
篠田 正人 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (50271044)
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研究分担者 |
嶽村 智子 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (40598140)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 数理ゲーム / 組合せゲーム理論 / 確率的最適化 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究では、人々が楽しめる様々なゲームにおいてプレイヤーが「勝利する」または「期待利得を最大にする」ためのベストな戦略を数学的に考察して厳密に解き、その解の特徴を調べることでそのゲームの持つ性質を明らかにし、実際に人々がそのゲームをプレイするときにより楽しめるようなルール設定の提案や、ゲームを一般化したときに現れる数学的に興味深い性質を追求する。さらにこうして得られた様々なゲームの理論解を用いて、この理論解との近さや解への収束の速さを調べることによって機械学習による最適化の各手法の有用性と優劣を判定する方法を提案するものである。 研究当初の2年間は様々な数理ゲームを解くことに重点を置いており、今年度は前年に引き続き組合せゲーム理論の観点からの研究を深めた。具体的には、石を含む山の数が一定となるように山の削除と分割を繰り返す一般化削除ニムについて様々な発展ルールを導入して勝敗条件を調べた。共同研究の成果として、様々な削除分割ニムと分割削除ニム(山の削除と分割の手順が異なる)についての勝敗判定条件を得た。これらの結果は研究集会the Japan Conference on Discrete and Computational Geometry, Graphs, and Games、ゲームプログラミングワークショップ、情報処理学会ゲーム情報学研究会、などで研究発表を行い、研究報告として論文を公表し、現在1件を論文として投稿中である。 また、グラフ構造を持つ情報伝播モデルにおいて、要求される精度の学習結果を得るための機械学習に際しての必要なサンプル数についての共同研究を行い、理論的な部分の考察を担当した成果を共著論文として公表した。このように、機械学習の研究への寄与も開始しており、2023年度以降も十分な成果が得られると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で最初の2年間は様々な数理ゲームを解くことに重点を置くとしていた。コロナ禍の影響もある程度収まり、研究集会参加による情報収集や共同研究等による環境が充実しつつある。さらに図書購入等による研究環境の整備も進めた結果、数理ゲームに関する知見を増やすことにより前年度に引き続き組合せゲーム理論における研究成果を得て研究発表と論文公表を行うことができた。さらに機械学習についても共同研究により、国際会議での成果発表と論文公表を行うことができた。さらに攻撃と防御をモデル化した数当てゲームの共同研究も開始している。今後も数理ゲームを理論的に解く研究を続けるとともに、研究計画期間後半の2年間で想定している機械学習の理論への貢献を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き様々な数理ゲームを解くことに加え、機械学習に関する共同研究を行う。コロナ禍も落ち着きを見せているため、国内の研究者と積極的に対面でのセミナーや討論を行い、情報交換をしながらより活発な研究活動を推し進める。 数理ゲームや確率論に関する研究集会・セミナーを実施し、確率的最適化やシミュレーションの方法についての知見を高める。ゲームの戦略の確率的最適化については奈良女子大学の大学院生による数値解析やシミュレーションの協力も仰ぎ、研究の助けとする。 機械学習や強化学習の理論に関するセミナーや勉強会にも積極的に参加し情報交換を行いながら理解を深めていく。
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