研究課題/領域番号 |
21K12272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 摂南大学 (2023) 大阪大谷大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
見坂 武彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (80397661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗菌薬耐性 / 海鳥 / カモメ / 生物濃縮 / コリスチン / 大腸菌 / 渡り鳥 |
研究成果の概要 |
超並列DNAシーケンサーを用いたメタゲノム手法と培養法を併用して、北海道の繁殖地における海鳥(オオセグロカモメおよびウミネコ)の腸内、被食者となる栄養段階の異なる生物、ならびに海水の耐性菌・遺伝子を網羅的に調べ、耐性菌の食物連鎖を介した濃縮メカニズムを検証した。動物プランクトン、海洋生物、海水では、コリスチン耐性大腸菌およびコリスチン耐性遺伝子mcr-1は検出未満であったが、ウミネコ、オオセグロカモメでは、それぞれ平均20%、35%の割合で保有していることが明らかとなった。食した餌生物は時期や年で変動し、特定の餌が増加因子となり、mcr-1が生物濃縮されることがわかった。
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自由記述の分野 |
分子生態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
渡り性のカモメであるオオセグロカモメとウミネコでは、特定の餌生物を摂取することで、コリスチン耐性菌や耐性遺伝子が腸内に濃縮され、繁殖期には20-35%の割合で耐性遺伝子を保有していることが明らかとなった。カモメは繁殖期に採餌行動で数十km、渡り期には千km以上移動し、糞とともに耐性菌や耐性遺伝子を海水中に放出する。本研究により、食物連鎖を介した耐性菌の濃縮・移動の実態の一部が明らかになり、地理的に離れた地域で類似の耐性菌が発見される要因として、渡り性のカモメが重要であることが示された。本研究は、環境中に潜む抗菌薬耐性菌が地球規模で蔓延する機構の解明に寄与するものである。
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